中国新聞


応用力養成独自に教材
山口県教委 小中全校に今秋提供
脱「ゆとり」授業で活用


 山口県教委は新年度、県内の小・中学生の応用力を養うための独自の教材を作成し、県内全約五百校に提供する。文部科学省が昨年実施した全国学力テストで、応用力の弱さが判明。一九九八年度からゆとり教育が続いた中、応用問題の授業が手薄になったとして、県教委として初めて取り組む。

 対象は国語と算数・数学の二教科。通常の基礎問題や教科書にある応用問題とは違い、思考力や判断力、表現力がより必要となる問題づくりを目指す。県教委が選んだ各教科とも五人程度の教員でチームを編成し、作業を進める。

 今秋をめどに作成し、県教委のホームページ(HP)に掲載。各校の教員に限って接続できるようにし、授業で利用してもらう。指導のポイントや狙い、難易度などの解説も付ける。

 県教委によると、ゆとり教育の導入で小中学校の授業時間数が減り、教科書にある応用問題に取り組む時間も限られ、問題をこなす量も減っている。また、応用力を養う方法について学校現場から「どう教えたらいいのか分からない」という声もあったという。

 全国学力テストは、国語、算数・数学の二教科で、県内すべての小中学校で実施。平均正答率をみると、各教科の基礎知識の問題は73・3―82・7%に対し、応用力を試す問題が60・0―73・0%と低かった。全国平均と比べると、小学生は基礎、応用とも下回り、中学生はいずれもやや上回った。

 県教委義務教育課は「ただテストの点を上げるためだけではなく、難しい問題に挑戦し、解けた時の楽しさ、喜びを感じてほしい」としている。(石井雄一)

(2008.3.8)


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