「成果発信」望む声も 受験生に聞く 国の高等教育予算の削減や少子化で大学間競争が激化する中、地方大学は志願者数の減少、学生確保に苦しむ。国公立大二次試験の前期日程が始まった二十五日、中国地方最大の総合大である広島大の受験生に、志望の動機や地方を拠点とする大学のさらなる魅力づくりへの要望を聞いた。 「学部が多く、他学部の授業も選択できるので幅広い知識が身に付けられそう」。教育学部を目指す佐賀市の高校三年男子(18)は、十一学部があるメリットを強調した。文学部志望の江田島市の高校三年女子(18)も「カリキュラムがバリエーションに富んでいて楽しみ」と夢を膨らませた。 一方、ホームページなどで紹介する研究内容が分かりにくいという声は強い。理学部を受験した松江市の高校三年男子(18)は「用語が難しく、何が専門なのか分からない教授が多い」と語る。長崎県佐世保市の同女子(18)も「研究紹介を分かりやすく書いてくれたら、もっと魅力が伝わるのに」と不満を見せた。 受験生らの大都市圏志向が進み、科学研究費の獲得では上位十校に入る広島大も二〇〇〇年代に入り、志願者数は落ち込む。広島市中区の高校三年男子(18)は「研究成果をもっと伝えて知名度が上がれば、地元でも魅力を感じる高校生は増える」。教育学部を目指す徳島県の同男子(18)は「伝統から選んだが、スポーツ経験者を優遇する制度があったら全国から受験生はくる」とみる。 卒業後の進路についての関心も高い。経済学部を受験した西区の高校三年女子(18)は「公務員試験の合格実績が高い」ことから志願したという。半面、工学部志望の福岡県久留米市の高校三年男子(18)は「就職に強いイメージはない。就職率を含めイメージが高まれば受験者は増える」と、大学全体の取り組みを求めた。(藤村潤平、貞末恭之、小山顕) (2008.2.26)
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