川本の3小学校 児童や教師に刺激 多様な意見交換も新鮮
島根県川本町教委は、川本、川本西、三原の町内3小学校の児童が合同で授業を受ける「交流学習」を学年ごとに実施し、成果を挙げつつある。児童や教師同士の刺激になり、特に小規模校にとって普段は難しい多様な意見発表や団体スポーツができる貴重な機会となっている。 二十日、川本小であった三年生の交流学習。三校の計三十一人が道徳の授業で「同級生のカンニングを発見したが、彼の母は病気で居残りにされると困る。先生に告げるべきか」とのテーマに挑戦した。「ズルで良い点を取ってもお母さんは喜ばないから先生に言う」「まず本人に言う」など十以上の意見が出た。 三原小のただ一人の三年生、飯田千沙都さん(9)は「みんなよく考えているなと思った。自分と同じ意見の人もいてうれしかった」と笑顔を見せた。「少人数の複式学級だと発表には慣れているが、多様な意見に接するのは新鮮なんです」と三原小の平野勇治校長は児童の気持ちを代弁する。 この日は体育でポートボールもした。川本西小の児童は「人が多くて、いっぱいパスができた」と満足そうだった。 児童数は川本百四人、川本西四十七人、三原十八人。小規模校では、多様な意見の呼び水として先生が腹話術でキャラクターにしゃべらせるなど苦心してきた。そんな中、交流学習は合同修学旅行の実績も踏まえ、昨年九月から開始。教室は持ち回りで、進度に差が出る算数の授業は学期始めにするなど難しさを克服しながら、これまで学年ごとに数回実施した。 教師も手応えを感じ始めている。川本小の佐々木能隆教諭は「普段は発言の多い子に流されがちだが、他校の児童がいると新鮮な気持ちで発言していた」。川本西小の小林明美教諭は「授業の準備などで他校の先生と話し合う中で鍛えられた面もある」と話す。 町財政難から学校統合を検討すべきだとの声もあるが、坂根豊教育長は「統合が前提ではない」とし「小規模校なりの良さもある。当面は交流学習を続けて成果をみていきたい」としている。(馬場洋太) (2008.2.25)
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