土地用途変更広島市が打診 県との協議に時間
広島市が市立広島特別支援学校(中区大手町)の移転、建て替え候補地を、南区出島地区のメッセ・コンベンション等交流拠点用地に絞り、港湾管理者である県に、港湾計画で定める土地の用途変更を申し入れたことが二十一日分かった。県は協議に応じる構えだが、隣接地を含めて計画を全体的に見直す必要があるとしており、決着までに時間がかかりそう。 メセコン用地は県が埋め立て、市土地開発公社が二〇〇一年度に約百十四億九千万円で取得。市は国際会議・見本市会場施設を建てる計画だったが、財政難で規模縮小を決め、一〇・五ヘクタールのうち東側二・五ヘクタールを学校用地に転用可能と判断した。 市立広島特別支援学校は一九八三年、旧大手町中の校舎を引き継ぎ小、中学部が開校。九三年に高等部も設けた。主要施設は五二年の建築で老朽化が目立つ。本年度の児童、生徒数は九三年度のほぼ二倍の二百五十三人。定時制の大手町商高が入る複合校舎もあり、手狭になっている。 市は二〇〇五年に、一〇年度の開校を目指す建て替え基本構想を策定。市有地、公社保有地を条件に移転先の選定を進め、交通利便性などからメセコン用地が適当と判断した。 ただ県は、メセコン用地南に将来、埋め立て地四三・七ヘクタールが生まれることなどから、全体計画を再整理する必要があるとの立場。県空港港湾事業局は「是非を判断するには相当の時間がかかる」としている。 この問題では昨年末、県市トップ会談で秋葉忠利市長が藤田雄山知事に協力を要請した。 ▽進む老朽化 教室も不足 広島市立広島特別支援学校は、築五十年を過ぎた校舎や簡易校舎で、障害のある子どもが学ぶ。高等部を開設した一九九三年度は百二十六人(四十三学級)だった児童、生徒数は、本年度二百五十三人(五十八学級)まで増え、慢性的な教室不足が続いている。耐震性の問題もあり、建て替えは待ったなしの状態だ。 国の基準により一学級は三―八人。現在五十八学級あるのに、普通教室は三十九しかない。仮設の簡易校舎を十五年たった今も使用するなど、嶽野寿正校長は「現場の努力だけではカバーしきれない」と頭を痛める。市教委は二〇一〇年度には児童、生徒数は二百七十八人(六十学級)へとさらに増えると推計する。 市教委が建て替え基本構想を打ち出したのは〇五年。移転で二・五ヘクタールの敷地を確保▽校舎は現在の倍の延べ一・八ヘクタール▽通学区域の中、東、南、西、安芸区からスクールバスで一時間以内―などの計画を盛り込んだ。 ただ財政難のため市は、市か市土地開発公社の保有地を軸に検討。JR広島駅東側(南区)や商工センター近くの埋め立て地(西区)も候補地として浮上したが、一定程度の活用が決まっているなどの理由で断念。最終的に残ったのがメセコン用地だった。 市は〇五年度一般会計当初予算に基本計画策定費を盛り込んだが、二月に予算を取り下げた。〇六年度も同様だった。本年度は減額は避け、開会中の市議会に提案した補正予算案で新年度への繰り越し措置を取った。 既にスケジュールは二年遅れ。市教委の荒本徹哉学校教育部長は「一刻も早く計画を進めたい」とする。ただ、県との協議が決着しなければ、残る選択肢は、現在地での建て替え・高層化となる。(岡田浩平) (2008.2.22)
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