小中の教職員定数増 スリム化の最中 国の方針とズレ 二〇〇八年度の国の予算編成に向けて合意された公立小中学校の教職員定数増の「恩恵」を、広島県が受けられそうにないことが二十日、分かった。〇九年度までの五年間で教職員を千六百人削減する目標を掲げ、教育現場でもスリム化を図っている最中だからだ。 教職員の定数をめぐっては、文部科学省が全国で約七千人の増員を要求。文科相と財務相、総務相が十八日、教員が子どもと向き合う時間を拡充するため、千百九十五人の増で合意した。県教委の教職員削減の取り組みは、この国の方針と相反する格好になる。教育と行政改革の在り方があらためて議論される可能性も出そうだ。 文科省によると、定数増のうち純増は千人。学校教育法改正で新設が可能になった「主幹教諭」の補充の位置付けだ。具体的には、一般の教員が校長らを補佐する主幹教諭になり、受け持つことができる授業が減った場合に加配する計画で、各都道府県教委からの申請を受けて配分が決まる。 県は〇四年十一月にまとめた第二次行政システム改革推進計画で、危機的な財政状況からの脱却などを目的に、〇五年度から五年間で職員を二千八百人減らす方針を表明。このうち千六百人は県教委分で削減するとした。新規採用の抑制などによる県教委の削減実績は、本年度までの三年間で八百六十一人。計画達成のためには、残る二年間で七百三十九人を減らす必要がある。 主幹教諭の導入について、中国地方の五県教委はいずれも「検討中」。ただ広島では仮に導入しても、一方で削減を計画に沿って進めれば、全体の教職員数は減る可能性が極めて高い。県教委教職員課は「教育現場に必要な教員数の確保と、行政改革の折り合いをうまくつけたい」としている。(村田拓也)
(2007.12.21)
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