中国新聞


育休取得42%どまり
広島県内調査県、施策を検討


 女性医師に働きやすさを

 広島県内の女性医師の育児休業の取得率は約四割の水準にとどまることが、県地域保健対策協議会ワーキンググループのアンケートで分かった。育児中に残業をさせない制度を導入している病院は半数に満たない。医師不足が社会問題化する中、県は、女性医師が働きやすい環境づくりを促す施策に役立てる。

 調査は、二十床以上の二百五十五病院の院長を対象に二〇〇六年秋に実施。二百一病院から得た回答(回答率78・8%)を今年十月に最終集計した。医師計四千百六十四人のうち女性は14・1%の五百八十八人。四十五病院には女性医師はいなかった。

 女性医師の支援策として最も多かったのは、百七十四病院(86・6%)が導入している育児休業制度。ただ、導入済みの病院で〇三年四月から三年間の実績をみると、対象となった七十七人のうち取得していたのは三十三人、42・9%にとどまる。

 子育てや介護などの必要がある女性医師に残業(所定外労働)をさせない制度を整えているのは八十九病院(44・3%)。女性医師が使える院内保育所を設置しているのは五十一病院(25・4%)だった。

 支援のネックとして、百三十六病院(67・7%)は「代替医師など人材確保」を挙げている。県医療対策室は「医師の不足が、支援の遅れや育児休業の利用低迷の背景にある」と分析している。

 県によると、県内では男性医師の減少に対し、女性医師は逆に増える傾向にある。医師不足が深刻な産科、小児科、麻酔科でも女性医師の比率は高まっており、就労環境の整備は緊急の課題。調査に当たったワーキンググループ委員長の井之川広江県医師会常任理事は「週に数回、数時間の勤務でも常勤として身分を保障する柔軟な働き方の導入も必要。全体的な医師の激務改善にもつながる」と指摘する。

 県医療対策室は「結果を参考に来年度以降、助産師の活動範囲拡大による産科医の負担軽減など、女性医師が働きやすい施策を検討したい」としている。(渕上健太)

(2007.12.20)


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