【記者手帳】 一歳六カ月までの子どもを持つ全職員に有給休暇を義務づけた全国でも珍しい「子育て特別休暇」など、子育て支援に力をいれている三次市。十一月末からは、育児休業中の従業員の給料二分の一補助や託児所などの整備への助成など企業向けの支援事業を始めた。 現在、雇用保険に加入し、市内に本社のある企業は千三十八社。うち、次世代育成支援対策推進法に基づき育児しやすい環境をつくる一般事業主行動計画の策定が義務づけられている従業員三百一人以上の企業は四社。多くは策定が努力目標の三百人以下の企業で、計画策定は計十社にとどまる。 市が開いた企業への事業説明会で、ある参加者は「出産したら正社員でなくパートを望む。こちらも長い間休まれるとやっていけない」と話した。中小零細企業が多い三次では、働く女性の子育て環境充実に壁も多いと感じた。 しかし、赴任して二年が過ぎた三次で、子どもに対する地域の温かいまなざしを感じることも多い。自分も三歳と一歳の子がいるが、取材先に連れて行くと面倒を見てくれたり、妻の通院時に大家さんが預かってくれたり…。住民同士で託児を引き受けたり、依頼したりして育児を助け合う市の「子育てサポート事業」の利用数も、事業開始の二〇〇二年度に比べ約三倍に増えている。 子育てを支える地域力を持つ三次の良さをさらに伸ばしてほしい。企業向けの支援事業なども含め、総合的な子育て力の向上に期待したい。(余村泰樹) (2007.12.14)
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