中国新聞


岩国 就学援助費見直し
財政難で基準厳しく
支給対象1800−1300人減検討


 岩国市教委は、義務教育世帯を対象にした就学援助費の認定基準の見直しを始めた。現行の所得に替わり収入を採用。支給基準のハードルを上げる。約千八百―約千三百人の児童・生徒が認定から外れる見通しで、市教育文化市民会議の答申を受けて来年度予算に反映する構えだ。

 市教委によると、二〇〇七年度見込みの認定児童・生徒数は小中五十五校で計約三千五百人。全体に占める認定率は約28%(〇四年度の中国五県平均は14%)と三人に一人に迫る。支給総額は約二億二千万円。

 認定基準の見直しは初めてで、「前年中の所得が市の規定以下」の項目の変更を検討。生活保護法に基づく最低生活費の一・五倍以下の所得の世帯が対象だが、見直し案は三パターン設け、いずれも「所得」の替わりに「収入」を採用した。

 三十五―四十歳の両親と小学生二人の世帯がモデルの試算によると、現行は年間所得約三百七十万円(年収換算約五百三十万円)以下で支給しているが、見直し案では年収約三百七十万円―約二百七十万円以下になるという。

 最大で認定児童・生徒数は約千八百人減り、認定率も13・9%に低下。約一億千三百万円の削減を見込む。

 市教委は、案を市民会議に提示。削減額の一部を、校舎修繕や遊具交換の費用に充てる考えを説明した。委員からは「財政上、やむを得ない」「本当に必要な家庭の把握を」「見直す根拠を明確にすべき」などの意見があり、どの案に絞るかは持ち越された。同会議は今月に絞り込む。(広田恭祥)


  経済的理由などで就学困難な児童・生徒の保護者に、学用品の購入や通学、給食などにかかる費用を、限度額内で支給する制度。申請を受けた自治体が支給を認定。岩国市の場合、生活保護の受給者▽前年中の所得が市の規定以下の世帯―などの基準を設けている。

(2007.12.6)


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