広島市本年度 6校延べ13人逮捕 中学生が教諭を殴るなどの「対教師暴力」が、広島市内で増加傾向にある。逮捕に至るケースも続き、市教委によると、本年度はこれまで、六校の延べ十三人が逮捕された。市教委は校長会などで、生徒との信頼関係を強めるよう呼び掛けるなど対策の徹底を指導している。 市内の中学校で今月、男子生徒(14)が教諭を殴るなどして数日間のけがをさせたとして傷害の疑いで警察に逮捕された。市教委に市立中から報告のあった対教師暴力は二〇〇五年度、逮捕に至っていないものも含め六十件。〇六年度に三十九件に減少したものの、本年度は八月末時点で三十三件となり、再び増加傾向に転じた。服装や授業態度を注意されたことをきっかけに暴力をふるうケースが目立つという。 県内全体でも目立ち、逮捕や家裁への送致など県警がまとめた中学生の対教師暴力件数は、〇六年の一年間に二十三件、二十五人だったが、〇七年十月末時点で三十五件、三十六人に急増している。 対教師暴力で生徒に逮捕者が出た広島市内のある中学校。背景について関係者は、生徒の規範意識の欠如▽互いを注意し合わない生徒間のつながりの弱さ▽保護者との連携の難しさ―などを挙げる。「教師への暴力には学校での対応の限界を感じることがある。これ以上深刻にならないように、と警察に被害届を出さざるを得ない場合もある」と打ち明ける。生徒全員を対象に、年に複数回の「教育相談週間」を設け、悩みなどの理解に努めているという。 市教委も「対教師暴力事件は増えている」と認識。月二回開く校長会では、教育相談で生徒とのかかわりを深める▽暴力は許さないとの態度を示す▽保護者の協力を求めていく―など対策の一層の推進を求める方針だ。 市教委の砂原文男・生徒指導担当課長は「日ごろから生徒との人間関係づくりに努め、言葉で気持ちを伝えられるような指導を進めたい」と話している。(武内宏介) (2007.11.20)
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