中国新聞


ママ作家 広がる人気
雑貨やベビー用品手作り


 バッグ、小物入れ、ヘアピン、赤ちゃんのスタイ…。さまざまなハンドメードの雑貨やベビー用品などを手掛ける「ママ作家」たちが活躍している。集まって一日だけのイベントを開いたり、街角の雑貨店に作品を並べてもらったり。中には仲間同士で店を構えるケースも。ママの目線で手作りした作品は、買う側のママたちの心もくすぐるようで、ちょっとした「ハンドメードブーム」を引き起こしている。

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てづくり市ぬくぬくで、ハンドメードの作品を販売する「こまねずみ」の川口さん(左端)

 イベント盛況 専門店運営も

 十月最後の月曜日、広島市中区の会場前には、子ども連れの母親や若い主婦たち約百人が並んでいた。「ママ作家」たちが十三のオリジナルブランド作品を販売する「てづくり市ぬくぬく」が目当てだ。「てづくり市」をオープンした午前十時から二時間、会場は女性客でごった返した。

 主催は中区を拠点に活動する子育てサークル「fam」。代表の五十部紗代(いそべさよ)さん(23)は「集まってもらった作家さんは、店に納品しているレベルの人たち。作品は、単に手作りというだけでなく、おしゃれ」と説明する。手作りならではの「一点モノ」の魅力も受けているのか、作品は売れ行きも好調だった。

 「こまねずみ」というブランドで、布バッグやアクセサリーなど約百点を並べていた主婦川口聖子さん(37)=西区=は「自分が欲しいと思えるかどうかがデザインの基準」と話す。かわいいだけでなく、使い勝手がいいかどうかも大切なポイント。近所の主婦(42)と二人で昨年夏から、イベントに合わせて制作を続けている。

 「手作りするのは好きだけど、自分では全部使いこなせない。買ってもらえるなら、次の作品の材料費に使いたい」と川口さん。そんな活動は、主婦業とは別の自己表現の場にもなっている。

 「てづくり市」のようなイベントでの販売にとどまらず、自ら雑貨店を構えるママ作家もいる。中区江波西の「zakkaD’S」は、二〇〇五年七月にオープン。子どもの幼稚園を通じて知り合った近くの主婦三人が運営している。その一人、岡田直子さん(41)は「企業というより、知人の店を手伝ううちに、いつのまにかお店を開いたという感じ」と振り返る。

 店は民家の一部屋を活用した隠れ家的なスペースで、自分たちだけでなく、ほかの作家も含め十人前後の作品を置いている。価格は「私も買える程度」と原価に近いレベルで設定。訪れる女性客は、気に入った作品を買うと同時に、デザインや作り方を観察し、自分が手作りするときの参考にしているようだ。

 好きなハンドメードの作品を通じて、多くの人とつながり合える―。ママ作家たちの自然体の活動が広がっている。(平井敦子)

(2007.11.5)


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