島根県 高額購入費ネック 心臓に電気ショックを与え、心肺蘇生(そせい)に効果がある自動体外式除細動器(AED)を配備している島根県内の公立の小中学校は九月末現在、8・9%にとどまることが、島根県教委の調べで分かった。小学校では二百五十七校中、わずか二校だけ。各市町村とも財政事情が厳しい中、高額な機器の購入費などの負担がネックとみられ、教育現場への普及は進んでいない。 島根県教委によると、小学校二百五十七校のうち、配備しているのは美郷町の二校。配備予定や検討中は百六十三校、予定なしは九十二校だった。 中学校では百四校中、三十校が配備済み。浜田市(九校)と美郷町(二校)はすべての中学校に設置。松江市は十六校のうち十五校、大田市は半数の四校で導入している。配備予定・検討中は三十六校、予定なしは三十八校だった。 一方、県立高校と特別支援学校の五十七校は、二〇〇六年度にすべて設置した。県教委健康づくり推進室は「高校では小中学校よりもハードなクラブ活動もあり、AEDが必要となる可能性がより高い」とする。 美郷町教委は今年六月、小中学校の全四校に配備。町教委学校教育係は「学校は地域の拠点であり、社会施設として一般に開放している。子どもからお年寄りまで利用することを考慮し、導入した」としている。四校と設置数が少ないことも全校配備につながった。 配備が進まない最大の要因は、一台十数万円以上する高額な機器の購入費。十二の小中学校に一台もない邑南町教委は「子どもの安全面を考えれば整備したいが、予算面の負担は大きい」と説明する。本体をリース契約する自治体も増えているが、財政難の中で配備費を捻出(ねんしゅつ)できないでいる。さらに、電極パッドは定期的に交換が必要で、維持管理費がかさむのも悩みの種だ。 島根県教委は、小中学校や県立学校の教職員を対象に、AEDの取り扱いに関する研修を実施している。健康づくり推進室は「AEDの重要性、必要性を訴えていきたい」としている。(城戸収) (2007.10.17)
|