広島県教委 県立高に新基準 「今も窮屈」現場困惑 広島県教委は、県立高の教室の設計基準を改定した。コスト削減の一環として、新たに校舎を整備する場合の普通教室のサイズを、面積でこれまでより九平方メートル狭い七二・〇平方メートルとし、天井高は三十センチ低くして二・七メートルとした。中国地方五県ではこの新基準でも山口、岡山を広さで上回るものの、財政再建の教育へのしわよせに、現場から戸惑いも漏れそうだ。 県立高の普通教室の設計は国に明確な基準がなく、各都道府県の裁量となっている。広島県教委は、昭和三十年代の六十平方メートル台から徐々に拡大し、二〇〇〇年度に面積八一・〇平方メートル(縦、横とも九メートル)、天井高を三メートルと設定していた。 今回の改定は、県財政の厳しさや、建築基準法の〇五年の改正などの情勢変化を踏まえ、全庁的な公共工事コスト縮減推進本部で方針を決めた。適用第一号は本年度中に着工予定の広島工高(広島市南区)の校舎改築(十二室)になる見通し。約五百万円の建設費の圧縮を見込む。 中国地方の他県の基準をみると、広い方から、鳥取八一・〇平方メートル▽島根七二・〇平方メートル▽山口六四・八平方メートル▽岡山六四・〇平方メートル―の順。鳥取とともに最も広かった広島は、島根と並ぶ二位となった。天井高は岡山、島根、鳥取が三メートル。山口は改定後の広島と同じ二・七メートルとしている。 昨年十二月に香川県教委が実施した全国アンケートでは、二〇〇〇年度以降に整備した教室について二十九都府県が回答し、「六十平方メートル台」十九都府県▽「七十平方メートル台」八県▽「八十平方メートル台」二県―との結果が出ている。広島県教委施設課は「全国的にみても窮屈ではない」と説明する。 ただ、基準改定が教育現場に十分周知されていないのも実情。県高教組の北村環副委員長は「既存の教室でも狭い。教育は未来への投資。経費削減の考えを持ち込むべきではない」と話し、県教委側に詳しい説明を求める考えである。(下久保聖司) (2007.10.13)
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