議会、立地などに難色 工事入札延期申し入れ 東出雲町が誘致し、二〇〇八年四月に開園を予定していた幼児園「ゆうの子保育園」をめぐり、町が白紙撤回を含めた計画見直しを進めていることが四日、分かった。建設予定地や交渉経緯に町議会などが難色を示しているのが理由で、町は幼児園の事業主に建設工事の入札延期を申し入れた。来春開園は不可能となり、国の交付金支給も正式決定した中で、事業は当面ストップすることになる。
「ゆうの子保育園」の運営は同町出雲郷の社会福祉法人草雲会で、建設予定地は意宇南四丁目の民有地約千八百六十九平方メートル。総事業費は二億九千六百万円で、うち厚労省の次世代育成支援対策施設整備交付金と町交付金が約四割。初年度は六十人を受け入れる計画。 町では現在、町立三幼児園と民間の一保育園の計四園で就学前の子どもを受け入れており、待機児童はゼロ。しかし、石原真一前町長が今年二月末の町議会定例会で、低年齢児の入園が増加傾向にあることなどから、新たな幼児園を本年度中に完成させると表明。町は九月の広報誌で〇八年四月開園の正式決定をPRし、草雲会も九月中に入札会を開く予定だった。 町議会はこれに対し、建設地や事業主の決定経緯が説明不足▽建設予定地の近くに場外車券売り場がある▽幼児園増設は必要ない―などの理由から反発。今年八月の町長選で石原前町長を破り、町長に就任した鞁嶋弘明町長は保護者からも立地に不安の声が寄せられたため、九月下旬、入札を当面延期するよう草雲会に申し入れた。 鞁嶋町長は「現行案のまま、議会や保護者に理解を求めていきたい」とする一方、「待機児童がないのに、場所の選定などに町民が納得しないまま強行できない」と白紙撤回も視野に入れる。事業を来年度に繰り越す場合は交付金を支出する厚労省の認定も必要だが、厚労省は「交付の決定は事業の明確なスケジュールが前提。町民の理解は事業の根幹部分で、スケジュール自体が不透明だったと判断せざるを得ない」と話している。(加納亜弥) (2007.10.5)
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