子育てがキーワード 中国地方の住宅メーカー ■台所近くに勉強スペース 吹き抜け設け家族身近に 中国地方の住宅メーカーが、三十歳代前半が中心の団塊ジュニア世代をターゲットにした一戸建て住宅を相次ぎ発売している。台所近くに子どもの勉強スペースを設けたり、家族のつながりを重視して吹き抜けを設けたりするなど、子育てを意識した設計を採用する。住宅を購入する顧客の年齢層が下がる中、購入の中心となる団塊ジュニア世代へのアピールを強めている。(金谷明彦) 東亜ハウス(広島市中区)は三月、一戸建て住宅「学びの家」を発売した。小学生以下の子どもが親の存在を感じながら勉強できるよう台所近くの居間に机や本棚を据え付ける設計を採用した。 西本義弘社長は「従来は、資金をためて四十歳代で住宅を取得する人が多かったが、長期住宅ローンの普及などで購入層が三十歳代に下がっている」と指摘。「三十歳代の顧客にアピールするには子育てがキーワードになる」と強調する。 ミサワホーム中国(岡山市)は、団塊ジュニア世代向け住宅「ジニアス・リンケージ・セトウチ」を七月に売り出した。家族の様子が分かりやすいように、家の真ん中を吹き抜けにしてリビングとキッチンの中央部にセンター階段を設置した。小さな子どもにも使いやすくするため、玄関の手すりや、電灯などのスイッチの位置も通常より低くした。 山根木材(南区)も三年前から、団塊ジュニア世代を念頭に置いた住宅「縁」シリーズを取り扱う。二階の部屋にいる子どもの気配が分かるよう居間を吹き抜けにした設計などを取り入れ、床材や壁材に自然素材の採用を進める。 同社の昨年の契約件数のうち、約四割は二十―三十五歳。山根誠一郎取締役は「今の若年層は住環境の安全への関心も高い。無垢(むく)材など自然素材を求める人も多い」と説明する。 全国大手の住宅メーカーでも住友林業(東京)や大和ハウス工業(大阪市)が、団塊ジュニア世代向け住宅を投入している。一九七〇年代前半の第二次ベビーブームに生まれ、全国で約八百万人といわれる団塊ジュニア世代をめぐる住宅メーカーの競争は今後も拍車が掛かりそうだ。
(2007.9.8)
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