中国新聞


アットホーム魅力
似島通学増えています


 島外最高の31人、小中生の4割

 広島市南区似島の市立似島小、中学校へ島外から通う子どもが増えている。豊かな自然の中、少人数で伸び伸びと育てる教育手法が注目され、本年度は過去最高の三十一人と児童、生徒全体の四割を占める人気ぶりだ。(安部慶彦)

 似島は南区の離島。過疎化に押されて子どもも減り、一九六五年には三百人を超えていた似島小の児童数も九七年には五十人を切っていた。似島小は九八年から西日本初の「オープンスクール制度」を設けて学区外通学を認め、二〇〇〇年には隣接の似島中も続いた。

 離島に通うには時間がかかるし、フェリー代も必要。学校もけっして新しいわけではないが、海岸で一日中、生物観察をしたり、トレッキングしたりという豊かな自然を生かした授業もするなどして徐々に人気が出た。

 海運会社が小学生用の通学用定期を設けたり、小・中学校と住民が一緒に楽しむ運動会にしたりするなど、地域も受け入れを積極的に支援。魅力ある「島の学校」づくりが軌道に乗った。

 少人数のため子ども同士の交流も進み、港から学校まで約一・三キロを仲良く、中学生が小学生の面倒を見ながら通う。休みの日も、似島へ遊びに来る子も多いという。

 中区から通う桂木遼太郎君(8)は毎朝六時四十五分に路面電車に乗り、フェリーを乗り継いで約一時間半かけて学校に着く。通学費は月約六千円。母親の公枝さん(34)は「本人は似島の山が大好き。自然の中でたくましく育ってほしい」と話す。

 四月から似島中に通い始めた二年伊達佐和子さん(13)=中区=も「朝早いのは大変だが、友だち同士が深く交流できるのが魅力」と言う。

 似島小の小鷹狩(こだかり)俊治校長(56)は「住民の協力もあって軌道に乗った。新しい地域、学校づくりのモデルとなれば」と話している。

(2007.8.18)


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