広島市、特別アシスタント配置校を倍増 広島市は、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達障害児の支援を強化している。学習サポートやパニックを起こしたときに対応する「特別支援教育アシスタント」を本年度、前年度の倍以上の百三十一の小中学校に配置した。周囲が障害に気付かず、十分な支援を受けていない子どもも多いとみて啓発にも力を入れる。(田中美千子)
市内のある小学校は、二年前から女性アシスタント(38)が配置されている。発達障害は多様で、ある児童は集団行動が苦手で朝礼の列を離れて遊具に登る。アシスタントは安全のため付き添い、心が静まるまで話を聞く。場の雰囲気が読めず対人関係がうまく結べない児童の場合は、級友との会話を橋渡しする。 校長は「以前は教室に座っていられないような子もいたが、日々の働き掛けで随分と落ち着いてきた」と実感する。 通常学級で学ぶ発達障害児は、特別支援学校などに通う子どもと違って長年、公的制度のはざまに置かれてきた。国が支援体制を進める中、市も二〇〇五年、アシスタント制を導入。毎日四時間以上通える市民を募り、医師など専門家チームが必要性を認めた学校に一人ずつ派遣している。 市は本年度当初予算で八十人分を確保。希望校が多いため、補正予算で五十一人分を加えた。アシスタント制は珍しくないが、規模は政令市でもトップ級という。複数配置を求める声もあり、市は「可能な限り拡充したい」方針だ。 ▽外見で判断は困難 市民にも啓発急ぐ 施策拡充の一方で、発達障害児の実態は十分に把握できていない可能性がある。文部科学省が二〇〇二年に実施した全国調査では、通常学級で学ぶ小中学生のうち6・3%に発達障害の可能性があるとの結果が出た。市教委が把握している1・1%と大きく隔たる。 市教委特別支援教育室は「外見で判断しにくい分、周囲が気付かず、本人や家族の努力不足とみなしているケースも多い」と分析する。 このため、市教委は〇三年から毎年、小中高校や幼稚園の管理職を対象に理解を深める講演会を開催。先月、初めて市民向けの講演会も開いた。 保護者ら約千人が参加。講師を務めた大阪医科大LDセンター顧問で大阪教育大名誉教授の竹田契一氏は「発達障害は育て方と関係なく、出る子は出る。障害から目を背けず、早く、その子に合った療育方法を見つけてあげてほしい」と強調した。 市教委は啓発チラシを作成し、学校を通じ、保護者らに配る計画。相談も受け付けている。特別支援教育室Tel082(504)2197。
(2007.8.8)
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