広島県警、8月から 安全教育を促す 交通事故の情報を地域で学び、事故防止に役立ててもらおうと、広島県警は八月、広島市内で歩行者と自転車が関係したすべての人身事故について、市を通じて小中高校などに知らせる新たな制度を始める。場所や時間帯など具体的な情報を知らせることで、より効果的な交通安全教育を実現するのが狙い。全国でも初めての試みという。
県警によると、事故は発生当日に原則として市に知らせる。発生場所を地図で紹介し、簡単な事故の状況図も付ける。関係者も子どもか高齢者か大人なのかなど個人が特定されない程度に伝え、事故を防げたかもしれないアドバイスを加えてメールで送信する。 県警によると、対象となる事故情報は今年上半期だけで約千二百件。県警は市を通じて各学校や公民館などに情報を送ることで、地域の特性や危険個所が分析できるとみる。情報を基に、学校が校区内の事故マップを作ったり、親子で事故現場に足を運んで事故の怖さを学ぶケーススタディーの材料となると期待する。 すでに今月一日から広島県府中町で試験的に開始、運用状況を見ながら全県的に広げたい考え。十七日、東区であった市教頭会に担当者が出向き「情報を生かすも殺すも学校などの取り組み次第。ぜひ有効に活用して子どもの安全を高めてほしい」と呼び掛けた。 県警や県などでつくる県交通安全対策会議は昨年七月、人身事故の発生件数を二〇〇五年の約二万一千件から15%減らして一〇年には一万八千件以下にする目標を掲げている。しかし、〇六年はわずか0・6%減。具体的な取り組みとして今回の制度を立ち上げた。 県警交通企画課は「これまでは死者数や事故数など数字に偏りがちでケーススタディーできない情報が多かった。新しい試みで地域がより実効性ある対策を取れるようになれば」と期待している。(吉村時彦) (2007.7.18)
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