中国新聞


登下校見守り 実証実験始動
広島市安芸区の矢野南小


 ■電子タグや携帯を活用 9−12月実施

 広島市安芸区の市立矢野南小で九月から、情報通信技術(ICT)を活用した児童見守りシステムの実証実験が始まるのに先立ち、実施主体となる市や市産業振興センターなど七団体でつくる協議会は三日、市役所で会合を開き、事業計画を最終確認した。(田中美千子)

図「子ども見守りシステム」

 矢野南小の藤原路子校長やPTA役員も出席。八月中にシステム開発を終え、九月一日から十二月の冬休み前まで、試験的にシステムを導入することを確認した。協議会は成果や課題を検証し、三月末までに報告書をまとめる。

 実験は総務省のモデル事業。登下校時に見守りに立つボランティアと児童に、電子情報の読み取り機能を備えた携帯電話を一人一台ずつ貸与。通学路沿いの電柱に電子タグを設置し、児童の位置や通過時間などの情報がボランティアに自動的に送られる。

 周囲に別の子どもがいるかが把握できるほか、児童が通学路を離れるなどした場合は異常を伝えるメールも送信される。さらに、ボランティアの携帯から基地局に情報が送られ、学校やシステムに参加した保護者もパソコンなどでチェックできる。

 協議会メンバーの角田良明市立大教授は「見守り者の負担を軽減しながらも、異常をリアルタイムで察知できる。既存のシステムより低コストなのも特徴」としている。

 安芸区で二〇〇五年、矢野西小一年の木下あいりちゃんが下校中に殺害された事件を受け、全国的に見守り活動が活発化。一方で地域や保護者の負担も大きく、総務省が新システムによる実証実験の実施を決めた。

(2007.7.4)


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