中国新聞


子どもの靴選び大丈夫?
広島の保育所、保護者向け講座


 ■かかと・足首の収まり肝心 3ヵ月に一度チェック必要

 「うちの子、靴が合っているかしら」。気にはなっても、機嫌よく履いていれば大丈夫だろうと安心しがち。でも、子どものうちは骨が未発達で、靴によって足の成育が大きく左右されるという。外反母趾(ぼし)やO脚などいろんなトラブルを招きかねない。意外に知らない足のこと。広島市内の保育所が保護者向けに開いた「足から始める子育て講座」をのぞいてみた。(木ノ元陽子)

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「見た目やイメージで、靴を選ばないで」と保護者たちに語りかける古山さん(右端)

 中区河原町の無認可保育所「花キュー園」。坂本サツエ園長(58)が講座を提案した。「こけやすかったり、歩き方がぎこちなかったり…。そんな子どもが増えていると感じる。足のこと、靴のことを保護者と一緒に勉強したくて」。全六回講座の初回のテーマは「子ども足の成長について」だった。

 講師はジャパンフットケア協会の正会員で、フットセラピストの古山昌子さん(43)。過激なスポーツなどが原因で足にトラブルを抱えた子どもにたくさん出会ってきた。それだけに、「体の根幹をつくるのは足裏。土台がしっかりしていないと背骨が曲がったり、腰痛などの症状が出たりする。柔らかい子どもの足は靴の影響を受けやすいから、靴選びが本当に大切」と力説する。

 古山さんによると―。生まれたばかりの子どもの足は、軟骨でできている。走ったり、跳んだりの基本運動を繰り返しながら筋肉を鍛え、骨格をつくっていく。十八歳ぐらいになって、やっと完全な足になるという。

 「寝返り、ハイハイ、つかまり立ち…。すべて健康な足に育つための大切なプロセス」と古山さん。ハイハイは背筋を鍛え、ひざの筋肉を養う。つかまり立ちは踏ん張ることで骨を強くする。「歩行器などに載せて早く歩かせようとしたり、まだ立てないうちからシューズを履かせたり…。そんなに急がないで。一つ一つの成長の過程を大切にしてほしい」と強調している。

 呉市から受講していた主婦林紀子さん(34)は「足のことって、今まで教わるチャンスがなかった。靴を選ぶ親の責任って大きいんですね」と話す。

 古山さんに、靴選びの四つのポイントを聞いた。

 (1)かかとがきちんと収まり、硬くて丸みがあるか
 (2)ハイカット気味で足首回りをホールドできるか
 (3)甲の部分をしっかり固定できるか
 (4)前の三分の一が十分に反るか

 「必ず売り場で歩かせて。ちゃんとかかとから着地できるか、けり上げているかを、前からも後ろからも確認してほしい」。上の子のお下がりは型くずれしているから、控えたほうが無難という。歩き始めると、どんどん大きくなる子どもの足。たこができていないか、靴底が極端な減り方をしていないか―。三カ月に一度は、足と靴のチェックを、と呼び掛けている。

 講座は毎月第三日曜の午前十時から一時間で、全六回。今後は、つめの切り方や靴選びの実践、筋力を鍛えるマッサージなどをテーマにとりあげる。一般の人も受講できる。一回千円。「花キュー園」Tel082(293)2667。

 ▽足型測定器が好評 そごう広島店子ども靴売り場

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子ども靴売り場で好評の「フットグラファー」

 子どもの足のサイズを正確に知っておこう―。そごう広島店(広島市中区)の子ども靴売り場では、最新鋭の足型測定器「フットグラファー」を導入している。

 足裏を高速度で撮影した画像を自動解析。足の長さ、幅、甲回り、土踏まずの大きさまで測ることができる。数秒で撮影できるから、じっとしているのが苦手な子どもも大丈夫。無料で計測し、データはその場でプリントアウトしてもらえる。

 シューズメーカーのアサヒコーポレーション(福岡県久留米市)と九州大が二年がかりで共同開発した。中国地方で設置しているのは、そごう広島店だけという。

 売り場の担当でシューフィッターの資格がある源本直己さん(27)は「子どものうちは、足が痛かったり不具合があったりしても、うまく伝えられないことが多い。足の特徴を把握するため、気軽に利用してほしい」と話している。

(2007.4.30)


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