父ちゃんパワーで解消を 三原の男性ら、講演会開催 後見制度など情報共有訴え 知的障害や発達障害のある子と暮らす三原市の父親グループ「父ちゃんパワーの会」が二十四日、同市内で初めての講演会を催した。会長の会社員宮垣秀正さん(54)=同市沼田西町=らは、妻への感謝や子どもの将来に対する不安など胸の内を明かした。(高木潤)
「息子が飲む薬の効用さえ、よく知らなかった」。宮垣さんは参加者約三十人の前で、かつての自分を振り返った。重度の精神発達遅滞がある長男(23)の身の回りの世話から福祉相談まで、妻の里枝さん(51)にほとんど任せていた。 転機は二〇〇〇年九月。里枝さんが交通事故で三カ月入院した。週末、知的障害児施設から帰宅する長男の食事やトイレに付き添い、「妻の大変さを思い知った」。以来、進んで家事を手伝うようになったという。 「障害者の相談には、なぜ母親ばかり来るのか」。三原市社会福祉協議会の崎田清司事務局長は、顔見知りの宮垣さんや定年世代の森田邦三さん(65)=同市明神=と須賀貞徳さん(60)=同市西野=に声を掛け、諭した。「知的障害者向けの老人ホームがない社会を変えるには、父親の力が要るんじゃないか」。共感した三人が〇六年一月、会を結成した。 月一回の座談会でも、やはり不安が募る。「親は先立つ」「一人残される子は、どうなるのか…」。宮垣さんは「遺産管理や施設利用の手続きを頼む成年後見制度など、会員同士で情報を共有したい」と話す。 講演会では、県立広島大保健福祉学部の三原博光教授が、山口市や福岡、兵庫両県で知的障害者と暮らす親三百六十八人に悩みを尋ねた共同アンケートの結果を報告した。九割の親が「子どもの老後が不安」と答え、親自身の高齢化も目立った。 こうした不安の解決に、宮垣さんは「父親がもっと家族の問題に向き合えば、何かが変わるはず」と話す。まだ三人だけの仲間も増やさなければ、と意気込む。 そんな宮垣さんの変化を一年間、里枝さんは見守ってきた。「『(人生は)家族あってこそ』と夫が口にするようになった。家族を大事にする気持ちが強くなったのかな」 「父ちゃんパワーの会」の次回月例会は四月二十一日午前十時から、三原市学園町の県立広島大三原キャンパス体育館である。ビーチバレーボールなどで交流する。参加費五百円。市社協Tel0848(63)3319。 (2007.3.31)
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