広島市教委が「いじめ」実態調査 ■「ネットで中傷」初の確認 広島市立の小中高校で指導したいじめのうち、「言葉での脅し」や「冷やかし」が全体に占める割合が目立つことが二十六日、市教委の調査で分かった。インターネットの掲示板に書き込みをして中傷するいじめも新たに確認された。この日の市教育委員会議で報告した。(鴻池尚) 市教委は十一月、全学校でチェックリストを使っての実態調査を緊急に実施。指導が必要と判断して対応した九十二件(小学三十七件、中学五十件、高校五件)のうち、いじめの状況についての報告が複数回答で約百二十件あった。 最も多かったのが「言葉での脅し」で小学十四件、中学三十件、高校一件の計四十五件。「冷やかし」が小学十件、中学十二件、高校二件の計二十四件、「仲間はずれ」が小学十一件、中学七件の計十八件と続いている。「なぐる、ける」も小学六件、中学六件の計十二件認められた。 今回初めて「ITでのひぼう中傷」が小学一件、中学三件、高校一件の計五件認められた。すべて携帯電話からの掲示板への書き込みだったという。 市教委指導第二課は「全体的な傾向としてはこれまでと同様だが、新たな要素が出てきた。調査結果をいじめの早期発見に活用できるよう指導していく」と話している。 ■教職員1200人参加 市教委が大規模研修
いじめを苦にした子どもの自殺が相次ぐ中、広島市教委は二十六日、広島市中区のアステールプラザで市立の小中高校、幼稚園の教職員を対象にした大規模な研修会を初めて開いた。 全教職員の四分の一にあたる約千二百人が参加。岡本茂信教育長が、教師の無配慮な言動が子どもの心を傷つけたり、いじめの見逃しにつながっていると指摘し、「子どもを取り巻く環境は日々変わっている。経験に頼るばかりではいけない」と強調した。 市人権啓発指導員の玖島慶子さん(72)=佐伯区=は、市立中学の教師を務めた経験から、弱い者いじめを繰り返した生徒の事例を紹介。「勉強や交友関係に行き詰まった疎外感から、いじめや暴力に走るケースが多い。小さな特技など、子どもの良さをほめて伸ばし、学校に居場所をつくってほしい」と呼び掛けた。 市教委は校長会でも同様の研修をしており、今後は学校単位の研修を求めていく。(石川昌義) (2006.12.27)
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