中国新聞


発達障害 乳幼児の支援策充実
広島市の検討委提言 早期発見など5項目


 自閉症など発達障害者の支援体制整備に取り組んでいる広島市の検討委員会は、乳幼児段階に絞った提言をまとめた。市民の理解促進、早期発見や診断、支援の充実など五つの重点項目を掲げ、各種施策を展開する必要性を強調。市は本年度末までに策定する「障害者基本計画」に盛り込む。(林仁志)

 具体的な施策として、就学先などで円滑な支援が受けられるようにするため、子どもの「サポートファイル」の作成、活用を提案。専門医の育成や幼稚園・保育園への支援コーディネーター配置など二十の具体的な取り組みを列挙している。

 発達障害は自閉症やアスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害など範囲が広く、生活に支障がないなど周囲が障害に気づかないケースも多い。一方で、早期発見や療育の必要性が指摘されている。

 二〇〇四年度の発達障害者支援法の成立などによる障害への知識、理解が深まったことや診断技術の向上により、障害児の数は増加傾向にある。市の三つのこども療育センターでアスペルガー症候群などを含む「自閉症スペクトラム」とされた件数は〇三年度には一〇一件だったが、〇四年度は二百六十七件となった。

 支援法は理念法の色彩が強く、具体的支援策やサービス確保は自治体に委ねられている。このため、市は昨年八月、専門家などでつくる検討委を設置、七回の会合を重ねてきた。成人期までのライフステージに応じた一貫した支援が大切として、まず未就学児に限った提言を中間取りまとめとして作成した。

 検討委は〇七年度までに就学段階から成人を対象にした提言をまとめる。

(2006.12.2)


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