広島のNPO フォーラムで提案 「広島のお母さんが考える理想の住まい」とは―。そんなテーマを据えた、特定非営利活動法人(NPO法人)「住環境研究会ひろしま」の設立一周年記念フォーラムが、広島市中区であった。六歳以下の子どもがいる母親約六百人を対象に同法人が実施したアンケートで、ほぼ半数が関心を示した「子どもがのびのび育つ家」について、一つの理想として提示。子どもたちが健康で安全に過ごし、家族のコミュニケーションを図るにはどうすればいいか、三人の専門家が提案した。(平井敦子)
子どもは大人と違い、好奇心で行動し、日々成長するが、読みが甘い。好奇心や冒険は成長の糧になり、尊重すべきだけど、重篤な事故が起こらないよう対策が必要だ。
1―9歳の子どもの死因で一番多いのは、不慮の事故。事故の75%は、親が目を離したときに起きている。「目を離さない」は、大原則だ。 1歳までで気を付けるべき事故は、ベッドやいすからの転落▽布団などよる窒息▽ポットやストーブでのやけど▽風呂や洗濯機での水死などがある。行動範囲が広がる1―5歳になると、台所で子どもの手が届くところにある包丁でのけがも出てくる。 風呂に水をためないとか、危険物の置き場所を変えるなど、子どもの立場から想像力を働かせ、きめ細かく配慮することが必要だろう。
家族のきずなを強くするには、空間を全く仕切ってしまうのではなく、何らかの形で部分的につなげる「ワンルーム」にする考え方がある。 「気配」を感じられる空間をどう作るのか。例えば、家にいる時間が一番長い母親の視線を重要視し、キッチンから家中が見渡せるようにする。 または、吹き抜けを介して立体的に空間がつながる設計もある。この場合、冷暖房費が問題になるが、断熱材を使った断熱工法や床暖房などを用いて、快適な温熱環境を整えることができる。 家族が集まる居間のような空間は、家のどこよりも快適な環境の場所を選ぶのもポイント。庭や景色を取り込むことで豊かな住空間が生まれる。ワンルームは子どもの成長に応じて、引き戸や家具でつながり方を変化させるといい。
住まいの「風通し」について、再認識してほしい。気流の流れは目に見えないが、空気を住まい全体で効果的に動かせば、健康も維持でき、建物の寿命を延ばすことにつながる。 昔の家は、1時間に空気が2回以上入れ替わっていた。今の家は気密性が高く、2―5時間ぐらいかからないと、部屋の空気が入れ替わらない。 家の気密性が高まると、冷暖房費は減っても、室内で発生した微量の化学物質など汚染物質が室内にとどまり、高濃度になって、人間に悪影響を起こす。シックハウス症候群なども、その一つで、目がチカチカしたり、頭痛や目まい、疲労感といった症状が出る。 子どもは大人より敏感で抵抗力が弱い。人間が一番のセンサーで「におうな」と思ったら、換気するようにしてほしい。 (2006.11.27)
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