中国新聞


あいりちゃん事件1年
子ども安全の日始まる


 「命を守る」 重い誓い

 広島市安芸区で矢野西小一年木下あいりちゃん=当時(7)=が殺害された事件から丸一年の二十二日、市内の多くの小学校で、冥福を祈る集会や安全を考える行事があった。矢野西小では、父の建一さんが寄せた「あいりの分まで、幸せに長く生きて」とのメッセージが読み上げられた。事件を受け市が定めた「子ども安全の日」(毎月二十二日)の初日。悲しみの記憶を安心社会の再生につなげる営みは、始まったばかりだ。

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あいりちゃん、安らかに―。献花台を訪れ、手を合わせて冥福を祈る親子連れ(22日午後5時5分、広島市安芸区矢野西4丁目)

 追悼集会や献花 広島市内

 矢野西小体育館での「安全・祈りの会」。非公開で行われ、児童や保護者ら約八百人があいりちゃんをしのび、黙とうした。児童と教職員がつくった折り鶴をステージに飾り、歌が好きだったあいりちゃんのために「君をのせて」を合唱。級友らへの感謝の気持ちも伝える建一さんのメッセージが紹介された。

 土田真理子校長は「あいりちゃんの分まで一日一日を大切に生きましょう。夢に向かって頑張りましょう」と呼び掛けた。

 同小では、放課後もPTA主催で「命の輝きの集い」があった。保護者と地域が協力し、見守り活動を続けていくことを誓い合った。

 あいりちゃんが段ボールに入れられ見つかった安芸区矢野西四丁目の現場。前日にPTAが設けた献花台には住民らが相次ぎ花束をささげた。広島県海田町の主婦(56)は「われわれ大人がしっかり子どもを守らなければ」と声を詰まらせた。

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安全目標を発表する八幡小の児童

 初めて迎えた「子ども安全の日」。市立の全百四十小学校のうち百四校が集団登下校をし、百十八校で一斉朝会をした。中区の中島小では地域の人や保護者に付き添われながら児童が登校。朝会では児童代表が地域の見守りボランティア約三十人に「いつもやさしい笑顔でありがとうございます」と感謝を伝えた。

 「知らない人について行きません」「防犯ブザーを持ち歩きます」―。佐伯区の八幡小では、朝会で児童と教員が学年ごとに定めた安全目標を誓った。安佐南区の伴東小の通学路では、犯罪から身を守ろうと六年生がデザインした巨大壁画が披露された。

(2006.11.23)


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