中国新聞


広島養護、10年開校「困難」
用地選定遅れる 教室不足、拍車の恐れ


 移転、建て替えを計画している広島市立広島養護学校で、二〇一〇年春を予定していた開校時期が、用地選定の遅れから一一年以降にずれ込む見通しとなった。職員室を半分にして使用するなど現在でも教室が不足する中、児童、生徒数が予想以上に増える可能性もあり、早急な対応が求められる。(鴻池尚)

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教室不足を補うためのプレハブが立ち並ぶ広島養護学校のグラウンド

 開会中の市議会決算特別委で、市教委は一〇年四月の開校について「困難な状況」と答弁した。

 市教委は、面積二・五ヘクタール以上で中、東、南、西、安芸の各区からスクールバスで一時間以内に通学できる地区を基本に用地を選考。市有地か市土地開発公社の所有地の活用を目指している。

 計画では、本年度に基本設計、来年度の実施設計を経て、〇八年度からの二年間で工事を完了する予定だった。しかし、市の部局間の調整に時間がかかり、用地選定が遅れ、基本設計の基になる基本計画さえできていない。このままでは、開校が二年遅れる可能性もあるという。

 養護学校には現在、小中高で計六十学級、二百四十八人が在籍するが、職員室の一部をランチルームに充てるなど手狭感が増している。獄野寿正校長は「校舎内の対応は限界が近づいている。適正な環境で子どもを育てたいのは保護者、教員の共通の願い」という。

 ピークの一二年度には生徒数が六一学級二百八十九人に増加すると予想され、高等部の入学者が高水準で推移していることなどから、来年度以降は、予想を上回る生徒数になる可能性も出ている。市教委特別支援教育室は「ゆとりのない環境での学習指導が生徒に与える影響は大きい。土地の選定に向けて関係局と連携を強め、作業を急いでいる」としている。

(2006.11.22)


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