広島の山本さん 評判呼び全国出版 娘の笑顔 伝えたい
広島市中区のフリーのテレビディレクター山本真紗与さん(35)が、「たちばなちひろ」のペンネームで描いた絵本「わらってわらって」が、東京の新風舎から出版された。主人公は長女の沙弥ちゃん(4)。保育園での絵本作りに参加して、沙弥ちゃんのために手作りした作品が好評で、出版に結び付いた。(平井敦子) 当時二歳の沙弥ちゃんのこぼれる笑顔で始まる絵本。ちぎり絵で描かれたその表情は、真紗与さんと夫、祖父母ら家族たちにも次々伝染する。「いつも わらってわらって!」「さやちゃんは みんなのてんしだからね!」と短い文に託した率直なメッセージと、優しい色彩のちぎり絵から、ほんのりと温かな愛情が伝わる作品だ。 山本さんにとって、沙弥ちゃんの笑顔は、仕事で疲れたり、家事に追われたりしたときにこわばる気持ちを「瞬間に解かしてしまう力がある」という。当時通っていた保育園の取り組みで絵本を制作したときに、すっと今回のストーリーが浮かんだ。 手作りの原本は、沙弥ちゃんはもちろん、友人たちにも好評だった。「新風舎えほんコンテスト」に応募したのを機に、今年八月に出版。子どもが手に取りやすいように、十五センチ四方の大きさの正方形にして、厚紙のページで製本した。 沙弥ちゃんは、出版された本を見ると、もじもじしながら「にったー」。山本さんは「自分が出てくる本は、この世に一つでうれしいみたい。親のメッセージを絵本の力を借りてしっかりと伝えられた気がする」と喜ぶ。「子どもの笑顔に勇気づけられるのは、どの親も同じ。親子で読んで笑ってほしい」と話している。 絵本は千三百円。全国の書店で販売されている。
■手形入れて成長記録に −専門家に聞くポイント 広島市南区の第二みみょう保育園などで手作り絵本の指導もしている、絵本作家の兵藤英子さん(51)=南区=に、手作りする時のポイントを聞いた。 親が子どものために作る絵本は、世界に一つだけの一冊。下手でいいし、下手がいい。手のぬくもりが伝わる。だから、気楽に子どもと楽しみながら作り、おひざに抱っこで読んでほしい。 最初からきちんとしたストーリーを考えなくていい。写真や広告の切り抜き、既成のシールを張ってコメントをちょっと添えるだけで、すてきな絵本ができます。子どもの好きな食べ物や動物、縫いぐるみ…。子どもが喜ぶ内容は、実は親が一番よく知っている。子どもの手形や足形、写真などを入れて作ると、成長の記録にもなります。 せっかく絵本を作るなら、簡単な製本方法を一度学んでおくと、応用がききます。はがきや包装紙など、身近にある材料でできます。公民館の絵本サークルや、保育園・幼稚園で教えてくれる場合もありますよ。 (2006.11.6)
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