中国新聞


広島県教委、県立全92校で調査開始
高校履修漏れ 03年以降の指導点検


 広島県立府中高(府中市)で発覚した必修科目の未履修問題を受け、県教委は二日、全県立高九十二校を対象にした緊急の現地調査を始めた。現行の学習指導要領になった二〇〇三年度以降に入学した生徒について、過去の履修状況などを調べる。調査期間は約二週間を見込んでいる。(村田拓也)

 初日は指導二課と学校経営課の職員三人が、皆実(広島市南区)と井口(西区)を調査した。二校とも県教委が指定する進学指導重点校(十五校)で、〇一年にも未履修が発覚している。

 井口では、金岡俊信校長らから事情を聴いた。学校側が示した生徒一人一人の履修状況を示す指導要録や過去のテスト問題を点検。カリキュラムと運用に違いがないかなどを約二時間かけて調べた。皆実でも同様の調査をし、いずれもこの日の調査では問題は見つからなかった。

 県教委は今後、原則として二人一組の調査班を一日六グループ前後編成して、全校を調べる。指導二課は「三年生は卒業を控えている。履修漏れがないか早急に確認する」としている。

 ▽109人も授業不足の恐れ 近大付福山中高一貫コース

 広島県は二日、福山市の近畿大付属福山高で、既に世界史の未履修が判明した三年生十三人以外にも、中高一貫コースの三年生百九人に卒業に必要な公民が授業時間不足の恐れがあると発表した。

 県私学振興室によると、学習指導要領では公民は「現代社会」を二単位か、「政治経済」と「倫理」の各二単位を取る必要がある。百九人は高校では現代社会を取っておらず、政治経済と倫理も一方しか学んでいないため、卒業に必要な単位を満たさなくなった。

 ただ、同校は二、三年時に学ぶ政治経済か倫理を現代社会の一単位分とみなし、現代社会をあと一単位とることで必要な単位を満たせないかと県私学振興室に相談。同室が文部科学省に照会している。

 私学振興室は同日、近大付属福山高を調査。カリキュラム上は高校一年時に「現代社会」を必修としているが、時間割上は「日本史A」を履修していたため分かった。(守田靖)

(2006.11.3)


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