就学援助 広島33%アップ 中国地方五県で生活保護の受給者や、家庭の経済的事情のため学用品などの就学援助を受ける児童・生徒が増加していることが中国新聞の調べで十六日、分かった。「痛みを伴う改革」を掲げる小泉政権の誕生から五年余。指標の推移に「格差社会」深刻化の一端が透けて見える。(滝川裕樹)
就学援助は学校教育法に基づき、生活保護を受けているか(要保護)、所得などが一定条件に当てはまる(準要保護)世帯の小・中学生が対象。準要保護の支給基準は自治体ごとに異なり、広島市の場合は四人家族で年間総所得が三百二十万円以下となる。 各県の〇五年度の受給者は、少子化にもかかわらず、五年前に比べ29―36%増と大幅に伸びた(岡山県は未調査のため〇四年度実績)。 山口県は32%増の二万八千九百二十八人で、受給率は五県最高の24%。ほぼ四人に一人の計算だ。県教委義務教育課は「県内自治体の基準が緩いのも一因ではないか」としつつ「全体的に家計が苦しい世帯の増加が背景にあるのではないか」と分析する。 広島県の受給者は33%アップの三万八千九百四十人で受給率は16%。市町別の受給率は広島市の23%が最高だった。広島市では受給率四割以上が十五校あり、七、六割を超える学校もある。 市内の四十歳代の中学教諭は「経済的に豊かで子どもを熱心に塾へ通わせる家庭の一方、高校入学の制服をそろえられない家庭もある」と明かす。「親のリストラで年度途中に就学援助を申し込む子どもも多い」と格差を痛感している。 (2006.9.17)
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