広島の若者交流館2ヵ月 ■利用者は500人突破 3人が就職果たす 通学せず就労や職業訓練もしない「ニート」と呼ばれる若者を支援する広島県の施設「若者交流館」(広島市中区八丁堀)がオープンして二カ月あまり。利用者は当初見込みを大きく上回っている。対人関係に悩む若者たちがうち解け合う光景も見られ、心落ち着く「居場所」として成果を挙げている。(編集委員・下山克彦) 初年度は七百五十人の利用を目指し、六月三十日に開館。それが七、八月だけで来館者はすでに五百二人で、うち八割は若者本人だ。来館者のうち、相談員との面談にまで至るのは四割程度。電話での相談も四十七件あった。 中区の二つの特定非営利活動法人(NPO法人)が運営にあたり、三人が常駐。自宅に引きこもっている現状を聴き、これまでの挫折や対人関係の悩みを受け止めている。面談者以外は、館内の就職関連図書を読んだり、パソコンを使うなどゆったりと過ごす。利用者は当初、背を向け合っていたが、最近は言葉を交わす姿も珍しくなくなった。利用者の中で三人が就職した、という。 このほか中央、安佐、佐伯の各勤労青少年ホームで地域相談会も実施。それぞれ十人以上の若者たちが訪れ、悩みを相談したり職業適性診断に臨んだ。今後はテニスや卓球などスポーツも織り込みながら、利用者の「元気」を引き出していく。 県内で一万人と推定されるニート。NPO法人理事長で交流館の代表を務める香川清さん(68)は「家の外に出るだけでストレスを感じる利用者も多く、就労までには多くのハードルがある。一人一人の事情に応じたきめ細かいサポートを続けたい」と話している。 (2006.9.15)
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