三次市の第3子以降保育料無料化 ■事業者と折半提案 市議会委「公立並み」求める声 三次市は十四日に開かれた市議会の民生常任委員会で、第三子以降の保育料無料化の対象になっていない認可外保育所や幼稚園の保育料を、所得に応じて市と事業者で一部負担する案を示した。市は月額二万一千円を上限に半額を補助し、同額の負担を事業者に求める。議員からは「公立と同様、親の所得に関係なく無料にすべきだ」などと疑問視する声が相次いだ。(衣川圭) 保護者の負担額は、所得税額に応じて市が定める保育料決定基準の市平均である月二万一千円を基に算定。決定基準額が二万一千円以下の家庭で、現在、通っている保育所や幼稚園の保育料が月二万一千円以下なら無料となる。決定基準額が二万一千円を超える家庭は、現在払っている保育料の一部を、保育料や決定基準額に応じて負担するようになる。 市は、助成額を事業者と折半する理由について、事業者と一緒に子どもを産み育てやすい環境を目指したい、と説明。事業者には、今後、理解を求めていく、という。 市の提案に対し、複数の議員が、公平性を保つには、すべての保育所や幼稚園での無料化を前提にすべきだ、と主張。これに対し、子育て支援局の土井多恵子局長は「幼稚園や認可外保育所は、設置者の考えで保育料の格差がある。保護者は保育内容なども含めて選択されているので、全額補助はできない」と述べた。 市は四月から、二十三公立保育所と市委託の三認可保育所で第三子以降の保育料無料化を開始。認可外保育所の保護者たちから対象を拡大する要望が出ており、議会にも一万人を超える署名と請願が提出されている。 ■保護者要望と隔たり 《解説》三次市が議会に示した保育料の助成案は、所得に応じて負担すべきだという「公平性」を求めるものとなった。これは、認可外保育所の保護者たちが「第三子以降なら皆、公平に無料化を」としてきた要望とも隔たっている。市は対象外の保育所、幼稚園の実態を詳しく調べた上で、事業者、保護者との話し合いを持つべきだ。 今回の提案では、認可外、幼稚園は所得に応じて保育料を負担する人も出てくる。保護者たちは「同じ第三子以降が無料にならないのは不公平で、少子化対策にも矛盾」と主張する。 これに対し市は、認可外、幼稚園は、そもそも所得に関係ない保育料を設定している点を指摘。所得に応じて保育料が決まっている公立とは異なるため「第三子以降だけすべて補助することが公平性を保つとはいえない」とのスタンスだ。 が、実際は公立に入れず、認可外に通う例だってある。加えて、無料化の告知が三月と、ほとんどの保護者が保育所に入る手続きを済ませており、選択の余地がなかった経緯もある。来年度の募集が始まるまで残された時間はそう長くはない。徹底した議論と結論を出さなければ、混乱は広がるばかりだろう。(衣川圭) (2006.9.15)
|