05年度 心理的被害が増加 二〇〇五年度に岡山県内の児童相談所で確認した児童虐待の件数は、過去最多の八百二十九件だったことが県のまとめで分かった。前年度に比べ8・1%増え、近年の増加傾向は止まっていない。(加納優)
中央(岡山市)、倉敷、津山の各児童相談所が寄せられた相談をもとに確認した。八百二十九件のうち九件は傷害罪などで県警が摘発した。児童虐待防止法の改正で〇五年度から市町村でも相談受け付けが可能になっており、県子育て支援課は「市町村の対応分を含めれば、実数はさらに増える」とみる。 虐待の内訳は、食事を与えないなどの「ネグレクト(育児放棄)」が三百九十八件で最も多い。殴る、けるなど「身体的虐待」が二百二十四件、暴言や差別などで心を傷つける「心理的虐待」が百八十件、「性的虐待」が二十七件だった。 総件数に占める割合を〇二年度と比較すると、身体的虐待が48・4%から27・0%に減少。一方で心理的虐待が11・0%から21・7%に増加するなど、外部からは見えにくかった虐待の表面化が顕著になっている。 虐待者は「実母」五百四十七件(66・0%)、「実父」二百十件(25・3%)と両親が九割以上を占めた。相談経路は「市町村」が最多の二百五十三件(30・5%)で、「学校や保育所など」二百十三件(25・7%)、「家族」百三十三件(16・0%)と続いた。 県は本年度から児童養護施設へのカウンセラーの配置や、虐待を受けた児童を受け入れる里親の拡充などの対策を強化。「児童虐待への関心の高まりが確認件数の増加の背景にある」(子育て支援課)とし、児童相談所の相談体制の充実も図る。 (2006.7.4)
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