東広島中心部 人口増受け新設相次ぐ ■特色をPR 生徒争奪戦 東広島市中心部で、学習塾が相次いで校舎の新設や授業コースの拡充に踏み切っている。人口増加に比例し、子どもの数も増えている。各塾とも個別指導を徹底したり、学校や駅近くに開設するなど工夫や利便性を高め、生徒獲得にしのぎを削っている。(小山顕)
いくえい塾(広島市南区)は三月、西条と黒瀬両町に二校を同時新設した。いずれも小学生―高校生が対象で、一人の講師が生徒二人を教える個別指導を特徴にしている。 「教育に熱心」 同塾は一九八七年、集団指導の西条校を開設しており、市内では三校となった。「人口増加に加え、学園都市だけに教育への意識が高い。進学校の新設で、受験希望者も増えている」と積極攻勢の狙いを話す。 全国で個別指導教室を展開する関塾(大阪市)も三月に進出し、西条地区に二校を相次いで開校した。「全国的に見て、人口増加率が高い。今後も増加が予測され、ニーズは確実にある」とみる。 東広島市は広島大、広島国際大、近畿大工学部が集中する学園都市。企業進出も相次ぎ、他都市から来た家族が子どもを塾に通わせるケースも増えている。さらに二年前、高屋町に県立の中高一貫校「広島中・高校」が開校したのも、塾ブームに拍車を掛けている。 同校は今春、全学年がそろった。それを受け、鴎州コーポレーション(広島市中区)は鴎州塾高屋校で一クラスだけだった広島高の授業に準拠したコースを二クラスに増やした。「学校の近くで、専用のコースを設けている点をアピールしたい」と強調する。 九七年から高校生対象に映像による個別指導を続ける東進衛星予備校(東京)は、広域的な生徒の獲得を目指す。昨春、校舎をJR西条駅近くに移転し、「両隣の駅からも生徒が集まるようになった」と立地のメリットを説く。 ニーズ多様化 大手の競争が激化する中、二校を持つ地場の栄光プレップは「地元進学校のきめ細かな情報を提供するなどして、地域から頼られる塾を目指す」と、三十二年間の実績から地域密着にこだわる。 学習塾業界は従来のように、合格者数の実績だけで評価される時代ではなくなった。個別指導や生徒の安全確保の徹底など、生徒や保護者のニーズも多様化している。ある塾の幹部は「今後、競争は一段と激しくなる。各校が特徴を出してすみ分けをしないと、自然淘汰(とうた)されていくだろう」と予測している。 【お断り】「鴎州」「鴎」は実際は「區」に「鳥」を書きますが、JISコードにないため表示できません。「鴎」で代用しています。 (2006.6.16)
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