中国新聞


虫歯招く だらだら食い
ダイエットクロック(食事時計)でチェック


 ■広島大病院小児歯科の海原助手お勧め

 虫歯予防の鍵は、歯磨きとともに飲食回数のコントロールとおやつの上手な選び方にあるという。歯の衛生週間(四〜十日)を機に、口の中が汚れやすい「だらだら食い」の食習慣を改めたい。(馬場洋太)

▽おやつの回数決めよう

グラフ「ダイエットクロック」

 五歳五カ月で虫歯ゼロのA君と、二歳八カ月で虫歯十本のB君。診察した広島大病院小児歯科の海原康孝助手は二人の一日の食事時間と内容を書き込んだ「ダイエットクロック」(食事時計)に注目した。歯磨きは毎日する二人だが、B君の間食の多さが目立つ。

 歯のカルシウムは、飲食の間中溶け続け、食後約三十分から唾液(だえき)の働きで再び歯に戻る。「B君のように間食の回数が多く時間も長いと、歯の修復が追いつかず、歯磨きをしても虫歯になりやすい」という。睡眠中は唾液がほとんど出ないため、寝る前にジュースを飲むのも禁物だ。

 ダイエットクロックは、歯が溶けている時間の長さを実感してもらう狙いで取り入れられ始めた。前日の食事内容を、牛乳やジュースなどの飲み物まですべて書き、円グラフにする。「自分がA君とB君のどちらに近いか分析してみては」と海原助手は勧める。

 二日、同歯科が開いた「親子の口腔(こうくう)保健教室」でも、参加者がクロックの記入に挑戦した。長男(2)と訪れた主婦升味恭子さん(26)=安芸区=は「友達が来ると、ついおやつの回数が増える。回数を決めてクロックを張っておけば子どもを納得させるのにも便利」と気に入った様子だった。

 ただ、お菓子を子どもから遠ざけるのは簡単ではない。別の母親が書いたクロックは食事とおやつが計七回。「それ以外にあめ玉も与えている。おとなしくなるから」と打ち明ける。

 同歯科は、お菓子を買いだめしない▽小さめの袋の品を選ぶ▽小分けして与える―などの工夫を紹介。種類も、「口に甘味が長く残るチョコレートやあめよりプリンの方が良い。ちくわなど甘くないおやつもお勧め」。食後に水やお茶で口をゆすぐのも大事だ。

 クロックに夜間の授乳を書き込んだ母親もいた。同歯科の香西克之教授は「母乳に含まれる乳糖だけが原因で虫歯になることはほとんどない。授乳後にぬれたガーゼなどで口の中をふけば心配ない」と助言する。

 むしろ問題なのは、砂糖が含まれる上に酸性のスポーツドリンク。「風邪で脱水症状を防ぐため一時的に飲ませるのは構わないが、『毎日飲んだらもっと良い』というのは誤解。常時口にしていると、酸に弱い子どもの歯は一気に虫歯になる」と注意を呼び掛ける。

(2006.6.7)


子育てのページTOPへ