広島市東区の2歳児死亡事故 築37年のアパート 管理見直す矢先 広島市東区戸坂新町の市営アパートで十二日、敷地内で遊んでいた男児(2)が同じアパートに住む女性(39)の車にひかれ死亡した。母親の目の前での事故だった。アパートは築三十七年。遊び場や通路、駐車場の区分が明確でない「歩車混在」の敷地内の状況に、死角があった。(和多正憲)
広島東署などによると、男児は通路そばで遊んでいて転倒、起き上がったところを車にはねられた。現場は普段から遊び場になっており、事故当時も近くに男児以外の子どもがいた。 男児がはねられたのは、敷地内の幅三・三メートルの通路。車が離合できない狭さで、花壇が視界を遮るなど見通しも悪かった。車の女性は男児に気付かず、母親はそばで知人と話していたという。 アパートには一九六九年の完成当時、駐車場がなかった。車社会の到来で七三年に住民が市に要望し、管理組合が敷地の一部を駐車場として使い始めた経緯がある。 通路や駐車場の区分に明確な規定はなく、管理は住民任せになりがち。公道ではないため、道路法が定める道幅などの安全基準は適用されない。 事故現場のアパートに三十年近く住むという五十歳代の主婦は「以前から危ないと感じていた」と証言する。 市によると、百四十二カ所の市営アパートのうち、同様の駐車場のあるアパートは少なくとも七十八カ所ある。九九年からは順次、市が料金を徴収し、直接管理するなどの体制に変え、今秋には事故現場のアパートも管理方法を見直す予定だった。 地場大手のマンション業者は「近年は安全確保を最優先し、歩車分離にするのが(集団住宅の)常識」と指摘する。 東区役所建築課は「これまで安全面が十分ではなかったかもしれない」とする。今後、駐車区割りを再編成し、通路の幅を広げるといった対策を事故現場などで急ぐ。 (2006.4.19)
|