東広島旧市域 プレハブ校舎次々 ■区画整理進み人口流入
人口が増加する東広島市内の小、中学校で、児童と生徒の増加に伴うプレハブ校舎の建設が相次いでいる。本年度、新たに西条中と三永小が加わり、プレハブを利用する学校は計四校となる。半面、昨年二月に合併した五町では、児童と生徒の減少が続く。過密と過疎の地域を抱える市教委は、両極端の対策が求められている。(治徳貴子) ●財政悪化の市 学区変更検討 JR新幹線東広島駅に近い同市西条町下三永の三永小。校門を入ってすぐの職員駐車場に三月末、一教室分のプレハブが建った。新入生が学校教育法に定める二クラス分の四十一人になることが、今年初めに判明。空き教室がないため、補正予算で急きょ建設した。
下重節実校長は「少子化時代にあって学校の規模が大きくなるのはうれしいけど、設備の対策が併せて必要になる」と、プレハブで即応せざるをえない事態を残念がる。PTA会長の川崎修也さん(46)も「プレハブでなく、すぐにでも校舎を増築してほしい」と要望する。 児童増加は、駅前の土地区画整理の工事が完成し、マンションなどが増えたため。市教委は、本年度百七十四人となる児童数が十年後はさらに約三百人増えると予測する。 増築案を準備 地元住民も不安を抱く。元PTA会長の古川春徳さん(56)らは一年前に協議会を設立し、三階建て校舎増築案の図面を準備。市が増築を決めたら、地元の意見として示すつもりでいる。 ただ、増築には課題も多い。西条小(本年度見込み八百八十四人)と八本松小(同九百五十二人)は二年前からプレハブを使用。本年度から西条中(同七百四十三人)も四教室分を使い始める。 市教委は「校舎増築や学校の分離新設が望ましい」としながらも、合併などによる財政の悪化で、当面はプレハブでの対応が続く。学区の見直しやスクールバスを利用した学区外への通学などを検討しているが、「保護者の反発も予測され、すぐには難しい」のが現実だ。 5町で13%減 一方、昨年二月合併した五町の小、中学校は、二〇〇〇年度から〇四年度までに児童、生徒総数が12・8%に当たる七百十人も減った。複式学級の学校もあり、〇三年度には河内町の小田小が河内西小に統合されるなど厳しい状況が続く。 市教委は〇四年度から百人以下の学校を対象に、市全域から児童を受け入れる小規模特認校制度を始めている。しかし、本年度から導入した四小学校では今のところ利用者はなく、苦戦している。 市内で最も小さい安芸津町の小松原小(同二十六人)は「この制度は公共交通機関での通学が原則だが、バスは登下校の時間帯に一本ずつぐらい。送迎できる保護者も少ないのでは」と問題点を指摘する。 声聞く機会を 市教委は西条中と西条小、三ツ城、寺西小での対応策を本年度中にまとめる予定で、人数が減っている学校の統廃合の検討も併せて始める。 これまで内部協議してきた市教委は、学区を変更する場合は保護者らで構成する審議会を開くという。しかし、校舎とプレハブでの授業環境の差を心配する声もある。市教委は早急に地域や保護者の声を聞く機会を設け、実情に合った対策を練る必要がある。 (2006.4.3)
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