中国新聞


山口県内、待機児童倍増 113人
山口最多61人 周南13人


 1月現在 子育て環境改善急務

 保育所への入所を希望しながら、定員超過で入所できない「待機児童」が山口県内で増えている。地域的には都市部に集中し、とりわけ山口市の突出ぶりが目立つ。財政難から保育所の新増設などが難しい自治体もあり、子育て環境の改善に向けた対策が急務となっている。(永山啓一)

グラフ「山口県内の待機児童数の推移」

 県児童家庭課によると、〇六年一月現在の県内の待機児童数は百十三人。市町村別では、山口市が六十一人で最も多い。次いで宇部市十九人、周南市十三人、下関市と山陽小野田市がそれぞれ十人となっている。現在の方法で統計を取り始めた〇二年から十数人で推移したが、〇五年には五十三人に急増。うち山口市が四十九人と九割以上を占めた。

 ただ、県内の保育所の総定員に対する入所者率は、〇五年四月現在で94・9%。農村部を中心とした郡部では、50%を割っているケースもあり、都市部と農村部との格差が顕著になっている。

 同課保育・家庭福祉班の古谷公三班長は「市街地で待機児童が出ても、周辺部の保育所では欠員が目立つなど、バランスが崩れている」と分析する。

 山口市では、新築住宅が急増している旧市内の大内、平川地区などへ若い世代が転入、就学前児童数が伸びている。半面、〇四、〇五両年度の計六十人の定員増にとどまり、二〇〇〇年以降は保育所の新設がない。

 市児童家庭課の石津敦夫課長は「財政難が続く現状では、公設公営の保育所を新設するのは難しい」と主張する。

 同市は、待機児童対策の一環として、保育所の委託事業に乗り出す。社会福祉法人が十月をめどに大内地区に開設を予定している保育所(定員六十人)が対象で、〇六年度当初予算案に「新設認可保育園運営委託事業」として四千万円を計上した。

 石津課長は「民間との協力や国が進める幼稚園への受け入れ制度なども視野に、今後の対策を考えていきたい」と話している。

(2006.3.15)


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