広島 若手音楽家ら5年前から ■客延べ2万人 入場無料、アニメ選曲も 子ども連れ歓迎のクラシックコンサートを、広島県内の若手、中堅音楽家のボランティアグループが、5年前から広島市の安芸区民文化センターなどで続けている。赤ちゃん同伴でもOKで入場無料とあって人気を集めている。(西村文)
今月四日のコンサートは、オリジナル音楽劇「まりうたまんだら」(作曲・前田理恵)と「ママと赤ちゃんのための小さな音楽会」の二部構成。幼稚園児や小学生は客席で、それより小さい乳幼児は客席後方の親子室で音楽劇に見入った。第二部の音楽会に移る幕あいに、「次は、赤ちゃん連れの方も客席でお聞きいただけます」とアナウンスが流れた。 「ママ…」では、生誕二百五十年のモーツァルトの「クラリネット五重奏曲」など四曲を演奏。約三百五十人の親子連れたちは、心地よい調べに身を委ねた。曲の合間には、クラシックに関する豆知識の紹介もあった。 三十組ほどの赤ちゃん連れが来場した。「生演奏を子どもに聞かせたかった。私も育児の疲れが癒やされた」と喜んでいたのは、安芸区の実家に里帰り中の主婦佐々木誠子さん(33)=和歌山市。このコンサートを知り、五―ゼロ歳の子ども三人連れで帰省する楽しみが増えた、という。
コンサートの主催者は、二、三十代の音楽家三十四人でつくる実行委員会(山本綾香会長)。「クラシック音楽をもっと気軽に楽しんでもらおう」と二〇〇一年六月に結成。これまで五年間に同センターで五十四回、区内の公民館で二十数回開いた演奏会に、延べ約二万人の市民を集めた。年に数回は人気アニメの挿入歌を選曲したり、赤ちゃん連れ向けの演出を工夫したり、家族で楽しめるプログラムづくりを心掛けている。 今回、「ママと赤ちゃんのための小さな音楽会」を考えたのは、実行委員のフルート演奏家、山村奈未さん(28)=安佐南区。クラシック好きの友人が出産後、こぼした一言がきっかけだった。「演奏会に行きたいけれど、乳幼児連れでは客席に入れない」 クラシックに限らず、本格的なコンサートでは、泣いたり客席でむずかったり、「はた迷惑になりかねない」と未就学児の入場を断るケースは多い。山村さんは「アンケートの感想やリクエスト曲を参考に、もっと親子に親しまれるコンサートにしたい」と意気込む。 実行委は二〇〇六年度も、同センターで十二回のコンサートを予定している。幕開けの公演は五月二十七、二十八両日のいずれも午後二時から。同センターTel082(824)1330。 (2006.3.13)
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