LDなどの軽度発達障害児 岡山のボランティア団体が指導 ■「幼児期からの療育大切」 学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など軽度発達障害児に対する公的支援システムが立ち遅れる中、岡山市のボランティア団体「発達・学習研究会」は約二十五年間、療育の場を開き続ける。代表の津田誠一さん(55)は早期発見と、経験に根差した自己流の「遊育」指導を説く。(石丸賢)
一日、岡山市の県総合福祉ボランティア・NPO会館であった講演会。津田さんは冒頭、集まった親や教員ら約三十人に言い切った。「わが子の軽度発達障害を、親はまず分からないと思っといた方がいいですよ」 津田さんは旭川療育園(同市)で発達障害児の訓練などを担い退職。整骨院を営む傍ら、軽度発達障害児を中心に年間約百人の療育に当たってきたという。 軽度発達障害の特性として、言葉の遅れ▽強いこだわりなどの問題行動▽興味、関心の狭さ▽コミュニケーションの薄さ―などを挙げ、「障害のサインを見逃し、孤立させるなど扱い方を間違えたまま思春期まで成長すると、指導が難しい。できれば幼児期のうちにサインに気付きたい」と早期発見を説く。 市内から来たという男性(61)は「孫が保育所で、集団遊びができないと言われたらしくて…」と顔が曇った。倉敷市の主婦(41)は「小学校に上がった途端、友達とのトラブルが起きだして…」。保育所時代は何でもなかったという。「病院では診断と治療しかできないと言われ、今日は一対一の療育ケアを求めてきた」 発達・学習研究会の指導には三本柱がある。集団指導と家庭指導、教科学習のマンツーマン指導の三つだ。事例を基に作成したプロフィル用紙という問診表で子ども一人一人の状態を確かめ、親の悩みや家庭での接し方にも助言をする。 もう一つ重視するのが「遊育」と呼ぶ、遊びを通したコミュニケーション能力の育成。「昔は学校の内外で異年齢の遊び集団があり、遊びの中で対人感情のコントロールや人とのかかわり、物の扱い方を身に付けた。タテのつながりが薄く、家での遊びが主流の今は、大人が集団遊びに巻き込まなければ」と津田さん。月一度の集団学習や夏の宿泊学習などには学生約二十人がボランティア参加している。 同研究会Tel086(256)0630。ホームページhttp://www2k.biglobe.ne.jp/~dischool/top.htm
(2006.2.6)
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