広島県内企業 子育て支援計画 コスト負担敬遠か 「現行制度内」が主流 少子化対策として、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく企業の行動計画で、広島県内では、出産や子育てによる退職者の再雇用や託児所設置、勤務地限定などコスト負担や制度変更が必要な抜本的対策を計画に盛り込む企業はごく少数にとどまっていることが三十日、広島労働局の集計で明らかになった。所定外労働の削減や育児休業の取得しやすい職場環境など、現行制度の運用改善が主流を占めている。(漆原毅)
昨年四月の次世代法全面施行で、計画策定を義務付けられた従業員三百一人以上の企業のうち昨年十二月までに、広島県内では93・5%に当たる二百七十五社が広島労働局に行動計画を提出。計画の策定は大半の企業で進んでいる。行動計画は二十六項目の支援策の中から企業が選ぶ方式で、同労働局は県内の対象企業が提出した計画の内容を集計し、この日公表した。 企業が取り組むと回答した子育て支援策(複数回答)で、最多は「所定外労働の削減」で半数近い49・5%だった。「育児休業を取りやすく職場復帰しやすい環境整備」が45・5%、育児・介護休業法などに基づく「子育て関連制度の周知」が39・6%で続いた。「子どもが生まれる時の父親の休暇の取得促進」も29・1%で六位に入った。 一方、「出産や子育てによる退職者の再雇用制度」は8・0%、「事業所内託児所の設置」は3・3%にとどまった。「勤務地・担当業務の限定制度」も1・8%で、「情報技術(IT)を活用した場所・時間にとらわれない働き方の導入」では0・4%だった。新たなコスト負担や制度の大幅見直しを伴う対策には消極的な姿勢が目立つ。 同労働局雇用均等室は「男性の育児参加を中心に、現行制度の範囲内で身近にできる対策が目立った」と分析。「将来に向けて託児所設置など抜本的な対策が求められていく」としている。 中国地方では、三十日までに三百一人以上の企業の96・8%に当たる六百十二社が行動計画を提出している。県別の提出数は、広島が二百九十四社中二百八十一社(95・6%)▽山口は九十六社全部▽岡山は百六十一社中百五十八社(98・1%)▽島根は四十二社中四十社(95・2%)▽鳥取は三十九社中三十七社(94・9%)。五県とも対象企業の九割以上が計画を提出している。
(2006.1.31)
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