中国新聞


犯罪4割減「人の力」
広島・安佐南まちづくり協 水山事務局長に聞く


 継続へ賛助会員募る

 「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動は、3年間で犯罪認知件数の3割減の目標を達成。モデル地区として対策を進める広島市安佐南区は、犯罪を大幅に減らす成果を挙げた。今後は事業を終えた新年度以降の活動が課題になっている。運動主体の「減らそう犯罪」安佐南まちづくり協議会の水山芳徳事務局長(67)にこれまでの取り組みや展望を聞いた。(松本恭治)

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「地域の人間関係を強めることが大切」と力を込める水山事務局長

 ―多彩な活動を展開してこられましたね。

 最も重視したのは、参加する住民に達成感を味わってもらうこと。防犯意識の向上、安全な街づくり、青少年の健全育成の三部会で活動してもらい、病院など人目の多い場所で犯罪情報を発信したり、街路灯の整備を進めたりした。全国的にも珍しい防犯少年団も、団員が増え続けている。

 ―成果は。

 昨年に区内で起きた刑法犯の認知件数は二千七百五十二件で、二〇〇二年に比べ40・5%も減った。〇四年夏に五隊、五十五人だったパトロール隊は、五十六隊、約千四百人に増え、意識が高まった。タクシー会社が自費で広報カーを走らせるなど、事業者の協力も大きい。結果を残さないといけないプレッシャーもあったが、多くの人の参加に感謝している。

 ―安芸区で女児殺害事件が起きるなど、子どもを守る対策が急務です。

 子ども自身に危険を避ける力をどう養わせるか。地域安全マップのコンクールを開いたほか、事件後は全児童館で折り鶴を折ってもらった。女児の冥福を祈り、被害に遭わない意識を高める狙いだった。ただ、各学校の取り組みには差もある。実態調査し、みんなで取り組める有効な対策を打ち出したい。

 ―本年度末でモデル事業が終わります。

 春から協議会の名前は消え、補助金も受けられなくなる。各団体が引き続き協力して活動する仕組みをつくるため、防犯組合連合会の規約改正を検討している。資金面では、連合会の賛助会員になってくれる事業者を幅広く募りたい。事業で培ったチームワーク、ノウハウは宝。機運を後退させてはならない。


「減らそう犯罪」モデル事業 県民総ぐるみ運動の一環で、2004年6月スタート。02年に県内で犯罪率がトップクラスだった安佐南区をモデル地区に選び、05年度末を期限に住民と行政、警察が連携して防犯対策の強化を進めた。県と市が04年、05年度に計2760万円を負担した。

(2006.1.20)


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