子ども守れ官民タッグ 中国5県 広がる取り組み 子どもを狙った犯罪が相次ぐ中、中国地方の五県でも地域住民や行政の手で子どもを守る取り組みが本格化している。地域の危険場所を地図で示すマップ作製指導や、最新の防犯灯配備、パトロール資金の助成…。官と民がタッグを組んだ取り組みが広がる。(加納亜弥) 広島県では二〇〇五年四月、県や県警職員らでつくる「子どもの犯罪防止対策プロジェクトチーム」が発足。犯罪から身を守る力を養うため、子どもが地域を歩きながら見つけた危険場所を地図上に記す「地域安全マップ」作りの普及に努めている。犯罪者に直面したときの対処より、近づかれない方法を身をもって体感することが目的だ。 これまでに県内六市町で、教職員や保護者、地域ボランティアらを対象に、マップ作りの指導者養成講座を開催。受講した学生が教材用ビデオを作ったり、教員が学校で子どもと一緒に地域を歩いたり。受講者からは「犯罪者が潜むポイントを意識することで、実のあるパトロールができる」と好評だ。 「大人の責任」 広島市の女児殺害事件後、地域や学校などからマップに関する問い合わせが増加。竹内真澄室長(53)は「子どもが自分を守る方法を知った上で、大人は環境を整える責任がある」と話す。 山口県では〇四年六月から、県内二十六の警察署が独自のメールマガジンサービスを無料で配信。情報を必要とする地域を絞り、不審者や交通事故情報などを流している。島根県は十二月下旬、県内の全八市と県警、地域が連携して通学路の安全点検やマップ作りの体制づくりを進める「子ども安全センター」の設置を急きょ呼び掛けた。〇七年ごろの発足に向けて準備を進めていたが、相次ぐ事件に危機感を覚え予定を前倒しした。 20万円の支援 岡山県では〇四年に津山市であった小三女児殺害事件を受け、当時七十七団体だった防犯パトロール隊は翌年十一月末には三百五十八団体に増加。県も中国地方で初めて、ボタンを押せば防犯カメラなどが作動する「スーパー防犯灯」を岡山市内に十二基設置した。三月末までに、倉敷市内でも増設する。 同じくボランティアの防犯団体が急増している鳥取県は〇五年、一団体二十万円を上限に活動を支援。防犯団体は〇四年の約四倍となる百十団体にまで増え、助成の公募には、想定の十団体を大きく上回る四十一団体が申請したという。 (2006.1.4)
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