中国新聞


安全対策 学校単独は限界
広島市教委調査


 ▽地域一体 通学路パト増

グラフ「登下校の安全対策の推移」

 広島市内で、集団登下校や教職員の通学路巡視など「学校主導」で安全対策に取り組む市立小学校は、安芸区の小一女児殺害事件の発生直後と比べると大きく減っていることが、市教委の調査で二十六日分かった。学校単独では対応に限界があることを示している。一方、地域ぐるみの対策は定着しつつある。市教委は調査結果を同日の「市子どもの安全対策推進本部会議」で報告した。(石川昌義)

 調査は市立小百四十校全校を対象に二十日に実施した。事件六日後(十一月二十八日)の調査と比較すると、「集団登下校」は八十八校が六十三校に、「教職員による通学路巡視」は八十校が四十七校にそれぞれ減少した。

 事件前(同二十二日以前)に比べれば依然、各三―四倍の水準だが、十六の小学校を回って実情を聞いた山田康助役も同本部会議で「学校現場には『本来業務である教育活動に支障が出かねない』とする声が根強い」と報告した。

 一方、地域住民の協力は大幅に増え、事件直後と同水準。「地域団体による通学路巡視」は九十四校で事件前より二十校多く、事件直後と比べても二校増加した。「保護者による登下校の付き添い」は十校で、事件直後より二校増えた。

 同本部会議では、地域住民と学校が一体になった活動を進める方針を確認した。市教委の古池誠治・学校安全対策担当課長は「事件直後の調査は学校側の警戒感がピークだった時期。学校外の防犯活動に充てる教職員のパワーには限界があり、地域と連携して長続きする活動に取り組む必要がある」と説明している。

(2005.12.27)


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