中国新聞


凶悪犯罪は身近な問題
廿日市女子高生刺殺、被害者の父親に聞く


 子どもが被害者となる殺人事件が相次ぐ中、昨年十月に廿日市市の自宅で若い男に刺殺された北口聡美さん=当時(17)=の父、忠さん(48)が、中国新聞のインタビューに応じた。「自分たちと同じ思いを抱く人が増えることがないように」と、子どもを守る取り組みの充実を訴えている。(岩崎誠)

 防犯対策 常に点検を

 ―悲惨な事件が続いています。

 複雑な思いだ。特に広島市安芸区の事件は…。警察に一日も早く解決してもらい、娘の事件にかかってほしいというのも偽らざる気持ちだった。被害者のお父さんは広島に転勤してきたばかり。もし配属先が違っていたら、と考えられているかもしれない。心中、お察しする。その思いは体験したものでないと分からない。機会があれば励ましの言葉を伝えたい。

 ―聡美さんが亡くなって一年二カ月。新たな情報も減っています。

 各地の事件はもちろん許せない。一方で、これを機に廿日市の事件を思い出してもらい、何らかの解決の手掛かりをと祈る気持ちも隠せない。

 ―各地で通学路などの安全対策の取り組みが始まっています。

 一番思うのは、私たちのようにいつ身の回りに事件が起きるか分からないということを、本当に実感できているかということだ。同じ広島県内であっても、新聞やテレビで知った事件は自分の問題に感じられない人もいるのではないか。例えば、学校で不審者情報が入ってもすぐにどこまで対応できるか。防犯ブザーを子どもに渡していても、いざという時に周りの人がどんな反応を示すのか…。よく点検しておく必要がある。家族を失ってからでは遅い。

(2005.12.16)


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