広島市安佐南区と西区で稼働不審者情報も減る 装置のボタンを押すとサイレンと赤色灯が異常を知らせ、警察署に電話と映像でつながる「子ども緊急通報システム」。警察庁などが通学路の安全を確保しようと全国で設置、広島県内では広島市西区と安佐南区で稼働している。広島市安芸区の小学一年生女児殺害事件を機に、子どもの安全を守る方法に注目が集まる中、効果や課題を検証した。(森田裕美、上木崇達)
安佐南区では四月、最も児童数の多い中筋小周辺七カ所に備えた。子どもの目線にある赤ボタンを押すと、サイレンと赤色灯が作動、広島北署と電話がつながる。署では現地の様子をカラー映像で確認しながら対応する。設置後、十月までに八件の利用があったが、いずれも誤操作などだった。 西区庚午地区では二〇〇三年四月、公園周辺にいち早く設置した。救急車を呼んだり迷子を届けたりの利用はあるが、子どもが危険を感じて通報した例はまだない。設置費は七ヵ所一セットで約千五百万円。「もったいない」との声もある一方で、ある主婦(33)は「交番に警察官が不在の時も多いので、心強い」と話す。 庚午地区の刑法犯発生件数は、設置した〇三年度は、前年度の約17%減で、その後も減る傾向。地域防犯パトロールなどの効果もあり、不審者情報も減っているという。 中筋学区でも設置前、月八、九件寄せられていた、声かけやつきまといなど、子どもを不安にさせる情報が、四月以降は月平均約四件に。「抑止力にはなっている」と中筋小の吉竹邦昭校長。小一女児を持つ母親(44)も「安心感にもつながるし、悪いことをしようとする人に、防犯に熱心な地域だと分かってもらう意味では大切」と評価する。 県と県警は来年度、緊急通報装置と防犯カメラの機能を併せ持つ「スーパー防犯灯」導入を検討している。常時作動しているカメラは広範に周囲の様子をとらえる。県警は「犯罪抑止や摘発につなげ、治安向上に役立てたい」としている。 (2005.12.13)
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