子ども防犯 学習塾も力 広島市安芸区の女児殺害など登下校中の子どもを狙った事件が相次ぐ中、学校だけでなく、子どもたちが夕方から夜間にかけて行き帰りする学習塾でも、安全対策に力を入れる施設が増えている。(森田裕美)
同市西区庚午北のあけぼの塾は、全塾生に磁気の入った個人カードを配っている。タイムカード感覚で塾に着いた時と帰る時、読み取り機械に通すと、自動的に保護者が希望するアドレスにメールが届く。通すたびにポイントがたまって景品交換できるシステムにして、楽しみながら活用できる。 「保護者の心配が軽減されれば」と導入を決めた木原邦彦代表。中学生は保護者が送迎できない約半数の生徒が、小学生ではほとんどの塾生が登録している。 西日本に九十校以上展開する鴎州コーポレーション(中区)は、地域や保護者らとの情報共有に努める。保護者に「塾生の安全確保のために」と題した文書を配布して、地域で得た事件や不審者情報などを本社のフリーダイヤルに連絡してもらうよう、協力を求めた。 連絡が入ると、該当地区の校舎に電話やファクス、メールで緊急連絡。保護者らに知らせる。安芸区の女児殺害事件でも、保護者からの連絡ですぐに周辺校舎を通じて保護者に注意や送迎を呼び掛けたという。 広島、岡山県内に五校ある鯉城学院(中区)は昨秋、塾生の入退室情報を即座に保護者の携帯電話へ自動的に伝える非接触型ICタグカードを使ったサービスを始めた。出入り口に置いた読み取り機にかざすだけで、十秒以内にあらかじめ登録したメールアドレスに情報が送られる。 今年二月から、小中学生千五百人に、カードを無償で配布。多くは母親が携帯メールのアドレスを登録していて「(自分の)仕事中に塾にいることが確認でき安心」「タイミング良く出迎えができる」などと好評だ。 さらに講師らが帰宅を誘導。最寄りのJR駅や、保護者が車で迎える場所に最後の一人が乗り込むまで見届ける。角谷勝己学院長は「ツールだけでは根本的な解決にはならない。最後は個々の認識と、地域とのつながりが重要」。新年度は、専門家を招き、保護者を対象にした安全講習会を開くことも検討している。 (2005.12.8)
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