広島市教委調査 教員対応に限界19% 広島市安芸区の小一女児殺害事件後、見守りなどの安全対策を強めている同市内の各小学校で、通学路で一人になる児童がいたり、教職員の同行が困難と訴えたりする学校が多いことが七日、市教委が公表した緊急調査の結果で分かった。集団下校の難しさを打ち明ける学校も多く、通学路の「安全の空白地帯」解消には、学校や保護者の努力だけでは限界がある現状を浮き彫りにしている。
市は同日、児童生徒の安全確保策を協議する内部組織「市子どもの安全対策推進本部」を設置した。全庁挙げて今後、地域団体や住民、事業所と連携した見守り体制づくりを検討する。また、通学路の距離や地域団体数など地域事情はさまざまで、市教委は学校ごとの個別対策も図る構えだ。 市教委の緊急調査は百四十ある市立小学校を対象に実施し、すべての校長が回答した。 それによると、不審者との遭遇機会が多いとされる下校時は、三十六校(26%)が「学年で下校時間が異なる」と集団下校の難しさを指摘。次いで二十九校(21%)が「全児童を家まで連れ帰るのは困難」とし、地域の協力を要請している。 登下校の共通課題では「教職員対応に限界」が二十六校(19%)、「どこかで児童が一人になる」が十六校(11%)に上り、教職員と保護者だけでは通学路全体に目が行き届いていない。 いずれも自由記述回答を集計したため、実態はより深刻な可能性がある。 各種団体など地域との協力でも「一部の人に負担がかかる」をはじめ、「(協力者の)高齢者の健康が心配」「学区全体を網羅できない」「過疎地のため要員確保ができない」など切実な声がある。このほか学校側は「行政の支援がほしい」「警察の巡回強化を」などと要望している。 市教委が六日に速報値として公表した安全対策の取り組み状況でも、集団下校実施は八十八校(63%)、保護者の付き添いは八校(6%)にとどまった。解決すべき課題はあるものの、子どもの安全確保には「地域との連携」が欠かせない現状を示している。(林仁志) (2005.12.8)
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