中国新聞


通学路の安全見直し
マップや巡回 中国地方で動き広がる


 広島市安芸区の女児殺害事件を受け、子どもの通学路の安全対策を見直す動きが、中国地方五県で広がっている。痛ましい事件から何を学ぶべきか―。「子どもの視点」から見た安全マップづくりやパトロールの強化など、地域ぐるみで児童らを守ろうと動く。

Photo
保護者と一緒に地域安全マップを作る田幸小の児童たち(三次市)

 三次市の田幸小では三日、児童と保護者が一緒に通学路を歩き、「子どもが入りやすく周囲から見えにくい」危険個所を地図に落とすマップづくりをした。東広島市も九日、校長会で児童自らがマップづくりに加わるよう指示する。

 通学路付近の住民の協力も欠かせない。安芸高田市は安芸区の事件後、児童らの下校時間に合わせ六台の市の広報車が通学路を巡回。放送で「外に出て見守ってください」と要請する。子どもが携帯する防犯ブザーの音も流し「この音が聞こえたら駆け付けて」と注意喚起している。

 出雲市。安芸区の事件と同じ日、集団登校中の児童の列に軽乗用車が突っ込み、女児一人が重体となった。以後、現場や市内の通学路で「車や凶悪事件から子どもを守ろう」と保護者や住民がパトロールを続ける。

 山口、岩国、宇部の各市教委は、登下校中に通学路に立つ学校安全ボランティアや防犯パトロール隊との連携強化を各校などに指示。福山市教委も、保護者による送迎や危険個所の再確認を幼稚園や各校に要請した。

 不審者などの情報の共有もポイントとなる。呉市PTA連合会や市でつくる「呉の子どもを守る会議」は十一月十八日、不審者情報を電子メールで保護者らに一斉送信する「守るネット」を開設。安芸区の事件以降、登録者数も伸びて約二千二百人に達した。

 鳥取県教委は教員による集団下校の見守りをあらためて指示。岡山県教委は子どもが駆け込む「子ども110番の家」など防犯体制の点検と改善を通知した。竹原市教委は防犯マップの再点検を全小中学校に指示した。

 広島県教委は登下校中の安全確保策について県内の事例を紹介するコーナーをホームページに開設する。各市町教委からの事例を今月中旬に集約する。

(2005.12.4)


子育てのページTOPへ