広島市、近く推進本部 広島市は近く、児童の安全対策を協議する内部組織「登下校時の子どもの安全を守る対策推進本部(仮称)」を立ち上げる。安芸区の市立矢野西小女児殺害事件を教訓に、従来は交通面に力点を置いていた通学路の安全対策を防犯の視点から全面的に再点検する。公共交通機関の活用や公園の防犯対策も強化する。
再発防止に向け全庁挙げて総合的に取り組むのが狙い。秋葉忠利市長は一日の記者会見で「財政面の制約はあるが、できることは何でもしていきたい」と決意を示した。 推進本部は、秋葉市長を本部長に各局長や区長らで構成する本部会議を設置するとともに、次長級の幹事会と、登下校巡回▽情報▽通学路整備―の三部会からなる実務者ワーキンググループを設けて対策を講じる構想。百四十の市立小学校全校を対象に実施中の安全対策緊急調査結果が出そろい次第、具体的な検討を始め、年内にも本部会議の初会合を開く方針だ。 対策の焦点となる通学路は現在、市教委が「十人以上の児童・生徒が学校に通う道」と位置付け、具体的には各校長が指定している。従来、横断歩道や信号の有無、舗装の状態など主に交通安全の視点からだったチェックを防犯面も重視して見直す。保護者には子どもが通る抜け道などを確認するよう呼び掛ける。 遠距離通学への対策も課題。市教委によると、自宅と学校間の距離が小学校で四キロ以上、中学校で六キロ以上離れている児童・生徒は現在、市内に六百七十三人いる。市は登下校時間帯の路線バス運行を拡充するよう各バス会社に要請。適当な公共交通機関がない場合はスクールバス導入も検討していく。 通学路以外でも、子どもたちの遊び場でありながら犯罪に遭う恐れも少なくない公園の在り方を検討する。植え込みの丈が高く見通しが悪かったり、夜間照明が消えていたりするなどの問題点をきめ細かく整理。地域住民が主体的に対策に参加することを通じ、多くの人の目が届きやすい公園づくりに取り組む。(滝川裕樹) (2005.12.2)
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