中国新聞


通学路安全へ社会一丸
140小学校対象 広島市が緊急調査


 広島市安芸区の矢野西小一年女児殺害事件を受け、市は、通学路を中心に子どもの安全確保策の強化を急いでいる。市教委は全小学校を対象に対応策の緊急調査を始めた。これらを踏まえ、学校と保護者の協力を企業や市民などにも広げ、地域社会が一体となってリスク低減を目指す考えだ=1面関連。(林仁志)

 市が安全確保のポイントに挙げるのは、不審者や事件の情報の正確で迅速な伝達▽市民や各種団体、企業との協力関係の構築―など。こうした観点から対応策を急ぐ。

 事件を受け市教委が小学校百四十校を対象に始めた緊急調査は、登下校の際の見守りや地域との連携などの現状報告を求める内容。古池誠治学校安全対策担当課長は「地域事情が異なり、対策が難しい学校もある」と説明する。通学エリアが広かったり昼間人口が少なかったりして地域協力に限界があるのが主な理由で、今週中に調査結果を分析し現状を洗い出す。

 一方で市は、教職員やPTAだけで全児童を見守るのは無理があるため、地域住民が小中学校や周辺を巡回する「学校安全ガードボランティア」の配備を進めている。小学校については今年九月末で六十五校に導入済みで、年度内を目標に全校配備を目指す。

 要員が手薄な地域は、防犯組合や福祉団体など各種団体に協力を打診する構え。下校時に少人数グループを家まで送り届けるなど、きめ細かい仕組みづくりも模索する。

 さらに、「大人の目が多ければ多いほどいい」とし、全市的な見守り運動も検討している。買い物などの外出を登下校の時間に合わせたり、郵便や宅配、外回りの営業担当者が意識的に児童の様子に注意したりするなど、市民や企業への協力呼び掛けも検討する。

 市教委によると、各学校はメールや電話での連絡網を設けているが、勤務先を連絡先とする保護者もいて休日や夜間は伝わりにくいなど、十分機能していない例もあるという。一方、保護者からは「学校や行政からの情報提供が遅い」などの指摘もある。

 市教委は「県警とも連携を密にし、きちんとしたルールづくりを考えたい」とし、市民や企業への協力呼び掛けなどは全庁で対応していく方針だ。

(2005.11.30)


子育てのページTOPへ