予防接種時期逃さないで 来年四月の予防接種法の一部改正で、はしか(麻しん)と風疹(ふうしん)の定期予防接種の対象年齢が絞られる。そのため、接種を受けそびれる子どもが出る恐れがある。制度の変更点を踏まえ、広島県小児科医会の見方を元に、年齢別に注意点を整理した。(馬場洋太)
■対象年齢にご注意 かかりつけ医師にも相談を 法改正で変わるのは、対象年齢と接種回数。現在は生後十二〜九十カ月で、はしか、風疹の順にワクチンを別々に接種する。来年四月以降は、二つが混合ワクチンで一度で済む代わりに、予防効果を高めるため、第一期(十二―二十四カ月)と第二期(小学校入学前の一年間)の二回接種制になる。 最も注意が必要なのは来年四月に生後二十四〜九十カ月(七歳半)で、まだ接種を済ませていないケース。 新制度の対象からはずれるので、三月までに現制度下で接種を済ませておく必要がある。 受けそびれると、四月以降ははしか、風疹ともに自費(市町村の補助がなければ各八千円前後)で接種することになる。その場合も、定期予防接種の対象外になったワクチンは品薄になる可能性があるため、早めの接種が望ましい。
風疹の場合は、感染予防のほか、先天性風疹症候群を予防する目的もある。女の子が将来、妊娠初期に感染すると障害のある子どもが生まれる確率が高くなる。男子も含め、百パーセントの接種が望ましい。 次に、生後十二カ月を過ぎて間もないか、来年二月までに十二カ月になるケース。 この場合、三月までは現制度で接種できる一方、あと五カ月余り接種を控えるか、はしかと風疹のどちらにもかからなければ、新制度で受けられる。 新制度では、第一期に接種した子どもだけが、就学前の第二期の接種を受けられるため、現制度での接種を控える方が得策との考え方もある。だが、県小児科医会会長の桑原正彦医師は「最終的には保護者の判断だが、この冬、はしかにかかるリスクを考えれば、新制度を待たず早く接種する方が良い。制度は安全性が確認でき次第、変わる可能性もある」と話す。 最後に、来年三月に生後十二カ月になるケース。 このケースだけは、四月以降に新制度で接種するよう、国が指針を出している。安全上、はしかの接種から一カ月以上たって風疹の接種を受ける必要があり、三月中に二つとも済ませるのは無理なためだ。 桑原医師は「これからインフルエンザが流行する季節でもあり、いつでも予防接種ができるとは限らない。はしかの接種を受けても、免疫ができるまでには四、五週間かかる。接種年齢になったら、体調が安定しているうちに早めに済ませられるよう、かかりつけ医師とよく相談してほしい」と呼び掛けている。 (2005.10.26)
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